第27回 京都府長岡京市立長岡第四小学校

作文/日下部/藤川/上村/鳥居
 大阪湾水先区水先人会水先人 村井 五郎

 2月5日、12日の2回に亘り長岡京市立長岡第四小学校の六年生と五年生の子供達に船と海を語りましたので以下のとおりご報告致します。

 数年前知人より小学生に船と海の話をしてやって欲しいと依頼され自分で撮影したビデオを持って市内の小学校へ話しに行きました。まだ船長協会主催の講演会は確か始まっていなくて今回のようなお土産もなく私の話だけでした。その時の校長が学校を替わり再び子供達に話をしてやって欲しいと依頼されていました。そこで船長協会に講演をしたい旨連絡して今回の運びとなりました。何れも私の母校ではなく今回は、六年生には「夢」、五年生には「運輸」をテーマに話をして欲しいとのことで二種類の原稿を用意して二日に亘って話をして来ました。

 1月29日に学校へ打ち合わせに行き校長及び担任の先生方と会ってどのような内容でどの程度の長さの話をするか、打ち合わせをしました。自分が小学生の時に、船はどのようにして浮くのか、と質問された事を思い出しました。先生に六年生は浮力について勉強しているのかと尋ねましたがまだ習っていませんとのこと。我々の時と同じだと思いましたが子供達に質問してみる事にしました。五年生の担任は子供達に運輸の話をしても実物の船を見た事もなく積む方法、どれ位積めるのかも分らず教えているのが現状ですとのこと。コンテナが8千個も、9干個も積める、自動車は6千台以上も積める、どうやって積むのか等話を約一時間して事前打ち合わせは終りました。

 六年生のテーマ「夢」は中学生になる前に子供達がこれから人生の夢を描く時色々な人の話を聞かせてその間口を拡げてやりたいと言う学校の方針に則り私が船乗りになった動機等を話して欲しいと言うことでしたのでそれを中心に話をしました。予定どうり「船はなんで浮かんでいるのか」質問しましたがやはり答えはありませんでした。プールで泳ぐと体が軽くなることは知っておりそれと同じだという事を話しました。理解できたかどうかは分かりません。それと同時に船や海、港の話をして子供達の興味を引くようにしました。五年生は社会科の勉強で運輸を勉強しているので船の種類、大きさ、何を運ぶのか、どれくらい身近な物が輸入で賄われているのか等を中心に話しました。


京都新聞洛西版記事

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 子供は話ばかりでは飽きて欠伸をする子、余所見をする子、チョッカイを出す子と前回で経験をしていましたのでDVDで「船と海」を見せてから私の話をしたので分りやすかったし私の話にも乗ってこられたのではないかと思いました。「船と海」を見せて一休みしてその後約40分の話をしました。六年生の時は船長協会の伊東さんが私の話に合わせてDVDを操作してくれましたのでよく理解出来たのではないかと思います。船の大きさの話では子供達の想像を越えておりピンと来ないところがあるので、具体的にキャリヤーカーでは自動車を精精10台位しか積めないとか、コンテナは一個しかトラックでは運べないとかを話して子供達が理解し易いようにしました。LNGの話では-162度がどれ位の温度なのか、泳いでいる金魚が一瞬に凍り水に戻すとまた泳ぎ出す話を、LNG船一隻造るのにどれ位のお金が掛かるのか、一万円札を船の端から端まで重ねて漸く一隻のLNG船が出来る等具体的に話しました。

 子供達の印象では海賊の話が一番インパクトを与えたようです。どの船長の話でも海賊の話が一番印象に残ったようですが、私の場合も同じでこの現代にまだ海賊が出るという事が子供達には不思議なようでした。

 子供達をこちらの方に惹きつけておくには時々こちらから質問する事が良いのではないかと思います。子供達が答えられそうな内容でその答えに少し肉付けをして解答すると良いように思えます。

 私の現在の仕事であるパイロットについても少し紹介しました。LNG船とか原油タンカーの安全航海がどれほど重要なことか、そして安全を担保するパイロットの仕事に誇りをもっている事も話しました。

 話の最後に環境保全とこの海で皆が生きて行くためには共存共栄が大切だと少し説教もして終りました。

話をし出すと40分は短くあれもこれも話をしてやりたかったなと少し残念に思いました。質問の時間もとりました。六年生は1人だけ質問がありました。どこの国、どこの港が一番良かったですか、という質問でした。校長日く、もう1人、2人質間したら堰を切ったように質問が出ただろうと。五年生は1人が質問したら次から次へと質問が出てきて時間を十分間延長しました。船酔いしましたか、どこの国へ一番行きましたか、一番困ったことは、一番長く航海したのは何日位、海賊の被害に遭いましたか、等々私が一番困った質問は、制服の金ボタンが何故そんなに沢山、そんな形に附いているのか、と開かれ、格好良いからではないかと答えましたがご存知でしたら教えて下さい。

 最後になりましたがこの講演が上手く行きましたのは船長協会のバックアップがあり学校の理解があったからであり深くお礼申し上げる次第です。家族旅行にも自動車で行く事が多く新幹線にも乗ったことがないような子供達がいるそうでそういう子供達に船と海を語るという事は大変によい企画だと思います。

作文/日下部/藤川/上村/鳥居

LastUpDate: 2024-Apr-10