第35回 長崎県大村市西大村中学校

作文/高見/加藤/福嶋/林田/針山/永尾/野崎
 (社)日本船長協会 技術顧問  池上 武男
講演風景
1.開催地とOB船長

 長崎県のほぼ中央にあり大村湾の東南岸に面した大村市は、藤原鎌足を祖先とする領主大村家の所領で、西暦1500年代には18代藩主大村純忠が藩内に港を開き、早くから南蛮貿易をはじめて長崎を開港し外国との交易が盛んであった。純忠はザビエルが日本に伝えたキリスト教の影響を受けて日本最初のキリシタン大名となり、4人の少年をローマへ派遣するなど、早くから国際的な気風を持った土地柄である。
 現在は、長崎空港を抱え、長崎自動車道が整備されて県の交通の要所として発展している。また、戦後の復興期にあたる昭和27年に全国に先駆けてモーターボートレースが初めて開催された競艇発祥の地でもある。
 本事業がまだ開催されていない県で小中学校を卒業した船長を探していたところ、元山下新日本汽船の船長で商船三井(株)の系列会社である国際マリントランスポート(株)の監査役を最後に退職し、故郷に帰ってゴルフとマイボートでの魚釣りと家庭菜園を楽しんでいる田川泰洋氏を思い出し連絡したところ、西大村中学校のOB ときいて当地での開催の労をお願いした。


2.日程及び準備等

 田川船長の紹介を得て協会常務理事の原田船長が学校側と直接打合せをして、学校の意向により高校受験が始まる前に実施したいとのことで1月13日(金)に実施することになった。
 同校は、昭和22年4月1日に設立され、勉学と共に体育教育が盛んで、陸上競技や相撲では全国レベルの文武両道の学風がある。学校は、全校1、2、3年生640人と教師及び若干の父兄を対象に綜合学習指導の一環として計画してくれた。機材や資料の送付を事前に済ませて、われわれは前日の昼頃に長崎空港に着き田川船長の迎えの車でホテルにチェックインした後、打合せのために西大村中学校へ向かった。
 学校に着くとすれ違う子供達が元気よく挨拶で迎えてくれてすがすがしい気分になった。あいにく藤和彦校長先生は不在で教頭の堀池益代先生が全て対応してくれ、詳細な打合せを行い、鈴木和彦教務先生を交えて会場となる体育館での機材テスト、スクリーンの設置及び照明の調整など生徒達も手伝ってくれて順調に準備が整った。


3.講演会

 当日は、テレビ長崎、大村ケーブルテレビ及び朝日新聞が取材にきていた。
 全校生徒で壁際までぎっしり詰まった体育館で講演会は13時35分から教務先生の司会で始まった。先ず、教頭先生によるわれわれの紹介があり、森本会長挨拶、学校OB 田川船長挨拶のあと私の講演となった。協会作成のDVD「海と船」の上演に続いて35分間の講演で、①「海の大切さ」、②「海の安全と環境保全」、③「印象に残った航海」をテーマにパワーポイントの映像を使いながら話した。
 講演後の質問で生徒から、「船に乗っていて辛いと思ったことはなんですか」、「船に乗って良かったことはなんですか」また、「外国人に会って印象に残った人はいますか」などの質問があり、森本会長はじめ夫々の船長がこれらに答えた。その後、森本会長から学校への記念品を贈呈し、最後に生徒を代表して生徒会長奥村喜昌君のお礼の言葉と女子生徒から花束を受けて講演会を終えた。


4.おわりに

女性とからの花束の贈呈

 教務先生の号令に従い640名の男女生徒が整然と行動する姿に感動し、公演中にはメモをとる生徒もいて素直な行儀がよい生徒達であった。
 終了後の校長室での懇談の中で、堀池教頭先生が「ここの生徒には悪い子は一人も居ないみんな好きなんです」と熱く語っていたのが印象に残っている。3年生たちは高校受験を目の前にして忙しいにもかかわらず一生懸命に聴いてくれた。
 船乗りとしての私達の話が、海洋への依存が特に重要な我が国の現状を理解して、子供達の将来への道標となれば幸いである。



 

作文/高見/加藤/福嶋/林田/針山/永尾/野崎

LastUpDate: 2024-Apr-25