第49回 鹿児島県薩摩郡川内市立浦内小学校

 (株)商船三井船長  町 祐次

~はじめに~

 鹿児島県串木野の西方、熊本県天草の南方に位置し、上甑・中甑・下甑島が甑島列島を構成します。人口は約6200人、平成17年に薩摩川内市と合併した。周りの海は釣り人垂涎の良い釣場が多く、きびなごの産卵地としても有名です。

 串木野新港から甑島商船のフェリーで、北の玄関上甑島の里港へは直航高速船で約1時間、下甑島の手打港経由列島沿いに北上する南回りの航路では約2時間半掛かります。

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1.開催に至った経緯

 私は、下甑島にある長浜小学校で少年時代を過ごしました。数年前、偶々鹿児島から乗船する機会があり故郷を訪れたところ、旧友が上甑島の小学校で校長先生をしており、「薩摩川内元気塾」という市が推進する企画があるので先輩として講師をやってくれないかとの話を受け、日本船長協会の「船長、母校へ帰る」講演会とからめ実施することになったものです。

2.講演会

 講演会は、平成19年5月25日(金)に実施し、参加者は、内浦、中津、平良の島内各小学校から53名と各校の先生方、地域の皆さんを含めて70名ぐらいでした。

 最初に浦内小学校竹迫校長と船長協会山!副会長の挨拶から始まり、次に約25分のビデオ(DVD)「海と船」を上映。DVDでは生活に必要なモノはどこからどのように運ばれてくるのか、船の種類、スエズ運河・パナマ運河、海賊の話などで構成されていますが、低学年の子どもたちにはちょっと難しかったようです。

 講演者の話はスクリーンに映し出す長浜小学校の卒業写真で始まり、「子ども時代の様子」から「外航船の船長を目指したきっかけ」「船長になるために努力したこと」や「経験してきた海、船、外国のこと」などについて、1年生にも分かりやすくと時々子ども達に質問しながら進められました。外航貨物船の大きさについていちばん身近なフェリー「ニューこしき」と比較、また船のスピードを50メートル走のタイムに置き換えて説明したところ、みんな驚きの表情でした。

 質問タイムでは元気な声が響き、時間的な制約から打ち切らざるを得ないのが残念でした。他の講演会でも同じ傾向ですが、海賊については物語や漫画・アニメなどで知る自分の知識とダブらせるのか、かなり興味があるようでした。

 最後にすばらしい児童代表の御礼の言葉を受け、船長協会からは記念品を贈呈してこの講演会を終了しました。終了後には、子供たちは記念写真を撮ってとても嬉しそうでした。

内浦小学校竹迫校長挨拶 山崎船長協会副会長挨拶
内浦小学校竹迫校長挨拶 山崎船長協会副会長挨拶
講演に聴き入る生徒たち 講演する町船長
講演に聴き入る生徒たち 講演する町船長

3.講師の感想

 全校生徒が100人に満たない山村の中学校の立志式に立ち会う機会を得て、2年生の生徒が一人一人壇上に上がって校長先生に向かって自分の決意を宣言する光景は、厳粛で素晴らしいものでした。引き続く講演会を聞く態度も真剣でなんと素直な子供たちかと感動した。

 最後に生徒代表による御礼の挨拶をもって記念講演会は終了し、我々は清清しい気持ちで会場をあとにした。帰りは、日用品を買いに行くという校長先生の車に同乗して日向市のホテルまで送っていただき途中、ご当地の話題に話が弾んで物足りない気持ちで別れた。
<(株)商船三井船長  町 祐次>

後方の父兄たち 子供たちとの記念写真
後方の父兄たち 子供たちとの記念写真
御礼の言葉を受ける山崎・町の両船長 御礼の言葉を述べる生徒代表
御礼の言葉を受ける山崎・町の両船長 御礼の言葉を述べる生徒代表

 

竹迫校長先生からのメッセージ

 講演会終了後,子供たちに感想を聞いたのですが,とてもためになったようです。また,中津,平良の校長からは「こんな事業があるとは知らなかった。いい事業ですね」という言葉を頂きました。「実施してよかったなあ。」と考えているところです。

生徒達の作文

生徒達の作文////


LastUpDate: 2024-Apr-17