第151回 愛知県半田市立亀崎中学校

内海水先人 竹内 忠雄   

愛知県半田市立亀崎中学校

1.講演会開催までの経緯

 内海水先人の竹内船長は、7・8 年前から 毎年5 月に行われる町のお祭に帰郷するたび に、仲間から亀崎中学同窓会が主催する「先 輩のお話を聞く会」で話をしてほしいとの要 請を受けていた。講演会の目的は生徒の進路 選択の手助けになるよう、いろいろな職業に 就いている卒業生に話をしてもらうことで あった。今までそうそうたる人達が名前を連 ね、また大勢の人の前で話をすることに慣れ ていないと断ってきた。しかし、昨年、同窓 会と学校から正式に要請が届いた。
 一方、日本船長協会が、「船長、母校へ帰る」 という広報活動をしているのを月報で読んで いた。その一環としての講演でよければと、 引き受けることになった。

2.開催日時

 平成27年11月12日(木) 14:45~15:45

3.学校紹介

 11月12日、「船長、母校へ帰る」の講演を 行うため、愛知県半田市立亀崎中学校を訪れ た。竹内船長は当校を53年前(昭和37年)に 卒業した。一緒に、教頭先生との打ち合わせ のため職員室へ。廊下ですれ違う生徒たちが 「こんにちは」と気持ちよい挨拶をくれた。 学校の雰囲気が分かる。先生方の会釈も自然 だった。教頭先生の名刺の左下に『南吉のま ち 半田』とある。尋ねると、「半田は『ご んぎつね』の作者、新美南吉が生まれ育った ところなので」と。
 ……いたずらな狐「ごん」が兵十の魚籠から 魚や鰻を逃がしてしまう。10日後、兵十の母さ んの葬式があった。「ごん」は後悔する……
 から始まる話。
 30年前、私の長男の小学校の国語の教科書 には『手袋を買いに』が載っていたと思う。
 昼休み、校舎から歌声がいろいろ聞こえて 来た。次週の校内合唱コンクールの練習だそ うだ。5 時限終了のチャイムが鳴りやむと、 全生徒553名、学校関係者50名、保護者20名 が体育館に集まってくれた。

4.講演会概要

 竹内船長は子供のころ鰻が捕れたこと、お 祭り、伊勢湾台風の甚大な被害、つづいてス ライドで自分の経験と、現在勤務している瀬 戸内海の水先人の仕事について話をされた。 私も船の種類、船員の役割などをDVD やパ ワーポイントで説明した。約50分、皆さん静 かに聴いてくれた。
 「南吉の童話」などの語りに親しんできたか らだろうか。体育館入口の黒いカーテンのうし ろで、「ごん」も聴いていたような気がした。
 1 週間後に感想文、「……知らなかった船 についての話、有難うございました」がたく さん届いた。
 生徒には日本船主協会のDVD 「暮らし を支える日本海運」「海の上のプロフェッショ ナル」及びパンフレットを配りました。

5.竹内船長のお話

 父親が機帆船を所有し、田原、豊橋から半 田へ砂利を運んでいた。小さいころから、私 は海に親しんでいた。小学校6 年の時の文集 に、将来「船長」になりたいと書く。希望が かない、1969年、東京商船大を卒業、船会社 に航海士として就職、20年後船長に昇進。船 会社で33年間、海上と陸上の仕事に従事、海 上の仕事は思ったより少なく、ほぼ1/3、陸 上が2/3だった。
 陸上勤務の間には、5年間の海外勤務もあっ た。アメリカ東岸ニュージャージーで、使わ れていなかった古い鉄道ターミナルを整備し、 西岸で揚げたコンテナを鉄道で運び入れるコ ンテナーヤードに造り替える仕事をした。家 はニューヨークに近く、冬は寒かったが、季 節がはっきりしていて、春には一斉に綺麗な 花が咲いた。3年後、西岸のロングビーチの コンテナターミナルに勤務することになる。 コンテナ船の荷役監督はじめターミナルの運 営の仕事に就いた。
 退職後、水先人試験を受け、内海水先人に なった。瀬戸内海の港に出入港する船の水先 案内人の仕事をしてきた。この12月、宮崎県 の細島の水先人になるため資格をとる勉強を している。歳をとると法律、海図等を覚える のに苦労する。みなさんもしっかり勉強して 下さい。日本のこと、世界のこと、英語も大 切です。
 船員の仕事は大変ですが、やりがいがあり、 おもしろかったです。

(質問)船に乗っていて、綺麗だなと思った ことは?
満天の星空、朝日、夕焼けでした。
(質問)どんな生き物と遭いましたか?
 イルカ、くじら、アホー鳥、ペリカン、ウ ミガメ、クラゲなどに遭いました。
(質問)女性でも船長になれますか?
 はい、なれます。すでにかなりの女性航海 士、機関士が船で働いています。
 まもなく外国航路の大型船の女性船長が誕 生します。
みなさん、将来の進路選択の一つに船員、 海運会社も考えてみてください。
 今日は有難うございました。

(日本船長協会会長 小島 茂 記)

生徒達の感想文

生徒達の作文/ //

 


LastUpDate: 2024-Mar-25