船舶の安全運航管理は、1990年代の国際コード(ISM Code)化以降、マニュアル管理が主流となって早20年以上が経過し、安全管理の質の向上、長年築き上げたSafety Cultureの体系化、サブスタンダード船の排除を目的とした管理手法も成熟期に入った。奇しくも2011年の原発事故における最大最良の判断は、現場でのマニュアルを度外視した判断と行動、また、事故の深刻さを増幅させたのは、マニュアル管理に於ける弊害でもあったのではないか。
Human Errorへの関心、BRM訓練の意義は発展拡大しているが、一方で、更にその上のステップとして、通常航海における環境条件変化の中での対応、また、緊急事態や想定外の事象に対する適切な対応という面では、現場の船長・航海士の判断が極めて重要である。
今回は、レジリエンス・エンジニアリング(RE)の現場への実装に関して、安全管理への展開、また船上での実践的応用と共に、現場力の発揚促進を目指す。(石橋)
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