葛西会長 年頭の挨拶

 

 

 新年、明けましておめでとうございます。令和となって初めて迎える新年ですが、皆様にとって明るく素晴らしい一年となることをお祈り申し上げます。
 また、常日頃より当協会の運営に格別のご理解とご支援を賜り心から御礼申し上げます。

 昨年5 月1 日に新天皇が即位され、元号も新たに令和となりました。10月には即位礼正殿の儀が行われ、11月には祝賀御列の儀とこれに続く大嘗祭と言った天皇陛下即位に関する一連の日本古来の儀式が催され、日本中が新しい時代に期待を寄せ、新天皇・皇后陛下の即位を祝いました。

 一方、昨年は、一昨年に引き続き大きな災害が発生した年でもありました。
 9 月5 日に発生した台風15号は、「非常に強い」勢力を保ったまま三浦半島を通過し千葉県に上陸、瞬間最大風速52.7m/s を記録し、暴風により甚大な建物被害と倒木による停電被害が発生し、復旧作業に長期間が費やされました。更に10月には伊豆半島に上陸した後、関東地方を通過し東海上に抜けた台風19号は、関東・甲信地方、東北地方などで記録的な大雨となり、河川の氾濫や突風による甚大な被害を各地にもたらしました。
 これらの台風により、東京湾では東扇島沖と横須賀港内で走錨による衝突が発生した他、6,736総トンの貨物船が南本牧の道路橋に接触損壊し、また2,946総トンのケミカルタンカーが本牧海釣り施設付近に接触するなどの走錨事故、さらに川崎沖合に停泊していた貨物船1,925トンが沈没し乗組員7 名が死亡、1 名が行方不明となるなど多数の船舶が被害を受けました。
 近年の異常気象ともいえる現象は、わが国南方における海水温度の高温化の影響が指摘されており、今後も災害の多発化が心配されるところです。当協会は、この様な異常気象に伴う海難事故の防止に向けて、再発防止策を、関係機関に協力しつつ進めていく所存です。
 尚、現在、国際船員労務協会殿の助成を受け、「船舶輻輳海域における安全運航」と題し、東京湾、伊勢湾の航法や交通規制、及び安全航行に関する外国人船員向けの教育DVD を作成中です。日本の気象条件に詳しくない外国人船員の運航する船舶が東京湾で走錨する事故が頻繁に発生している実態を踏まえ、走錨による事故の防止に関するガイドラインや避難勧告等に関する情報も紹介し、自然災害事故防止に活用できるような教材に仕上げたいと思います。

 海外においては、6 月13日現地時間早朝にホルムズ海峡付近で日本とノルウェーの海運会社が運航するタンカーが何者かに襲撃を受け炎上し、7 月にはイギリス船籍タンカー及びイギリス企業所有のタンカーが相次ぎイランに拿捕されると言った事件が発生しています。
 世界の経済活動に貢献する海上輸送は、船舶の航行の自由と安全が担保されて初めて可能となります。関係各国の話し合いにより、我々の仲間が乗り組む船舶が、安心してホルムズ海峡を航行できることを切に望む次第です。

 昨年はラクビーのワールドカップが日本で開催され、「ONE TEAM」の名のもとに団結した日本チームの活躍で大いに盛り上がりました。今年はオリンピック、パラリンピックでの再度の盛り上がりが期待されるところです。
 56年前の1964年に開催された東京オリンピックは戦後の高度経済成長の波に乗り日本が国際社会の一員に復帰した記念碑的な催しとなり、海外から多くの人々が来日しました。これは私が外国への憧れを抱き、外航船の船長を目指すに至った大きなキッカケとなりました。
 平和の祭典であるオリンピック、パラリンピックを通じ、国際情勢の安定化を望むとともに、多くの若い世代が国際社会に目を向けてくれることを期待します。

 船長協会創立50年を機に始めた「船長、母校へ帰る」の講演も今年で20年を迎え、日本全国で多くの子供たちに外航船員の仕事や海運の役割について会員の皆様にお話をしていただきました。また、2017年に改訂された小中学校社会科の学習指導要領を受けて、国土交通省が「海洋教育プログラム」を作成したことなどから、当協会への「子供達に海と船を語る」講演依頼も増え、合計230回を超えました。感想文には、「海のこと、船のことが知れてよかった。」、「船長さんはやりがいのある仕事だと思った。」、「貿易と船の大事なことが分かった。」などが寄せられていますので、今後とも関係団体のご協力を頂きながら、力を入れていきたいと思います。

 最後になりましたが、会員各位の更なるご活躍と、安全航海を祈念し新年の挨拶といたします。


LastUpDate: 2020-Nov-05