元・運輸省航海訓練所(現・独立行政法人航海訓練所)教授 | ||
元・東京商船大学教授 船長 橋本 進 |
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11時35分、私の講演は予定通り終り、質問時間に入りました。質問は、 1)帆船以外にどのような船がありますか。
2)船酔いは誰でもしますか。 というものでした。私と澤山会長が応答しました。なお、ほかに質問のある方は船長協会へお知らせ下さいということで質問時間を終えました。 ひきつづき澤山会長挨拶、次いで児島校長の謝辞があり「ビデオの中で船長の言われていた“労働とは汗をかくこと”という言葉に感銘を受けました」と言われましたが、学校教育が云々される昨今、長い歴史と伝統をもつ練習帆船における人間教育の一端が理解されたのではないかと嬉しくなりました。 最後に児童会代表・三島由妃さんによるお礼の言葉、「本日は、お忙しい中ご講演いただきありがとうございました。本町小学校の大先輩が来て、講演してくださると聞き、楽しみにしていました。そして、今日、先輩をお招きしてお話を聞くことができて、とてもうれしかったです。先輩がお仕事に一生懸命取り組んでいらっしゃることがよく分かりました。私たちは、お話いただいたことや、今日の出会いを忘れず、これからも勉強や運動にがんばっていきます」のあと、香西力也君からの花束贈呈があり12時ジャストにすべての行事は終了し、盛大な拍手に送られて会場を後にしました。
4. あとがき 新聞報道によりますと、文科省は、1987年度から小中高校の新採用の教師の初任者研修の一環として実施してきた客船を借り切っての約10日間の洋上研修は、財政難で参加者を送れない自治体が増えたこともあって、来年度から廃止することにしたそうです。 第2次世界大戦後の経済最優先の政策は、一方ではさまざまな弊害をもたらしました。それが具現化し、国民に大きなショックを与えたのが昭和48年(1973)の第1次オイルショックによる社会生活の混乱でありました。このオイルショックによって暴露された日本国民のモラルの貧困さに対して、その育成と高揚に積極的に取り組み始めたのは地方公共団体であり、またその手段として船を選んだのも地方公共団体でした。 せっかく根付いてきた新任教師の洋上研修が、財政難の理由で幕を閉じることに深い悲しみを覚えます。日本の国は海に囲まれた国であることを日本政府も国民もまた忘れようとしているからです。 せめて、21世紀を担う子供たちを指導する小学校の先生だけにでも「我は海の子」の歌を実感できる研修があってもいいのではないでしょうか。 いま練習帆船海王丸が一般の人を受け入れて体験航海を実施しています。なんらかの方法で実習生と一緒に研修する機会はないものかと愚考する次第です。 |