IFSMA便り NO.72

コロナ禍とMission to Seafarers

(一社)日本船長協会 理事 赤塚 宏一

 

はじめに

 9 月24日は “World Maritime Day” である。この日に合わせて国連事務総長は海事社会にメッセージを発した。グテーレス事務総長は「コロナ禍にともない、商船の乗組員交代が困難を極め、世界で80万人に及ぶ船員が影響を受けている。40万人が船上に取り残され、40万人は陸上で乗船のために待機している。私は数十万人の掛け替えのない基幹労働者である船員が日毎に人道的にまた安全・健康について直面している危機について強い懸念を抱いている」とし、この問題を解決するために各国政府や関係団体が一層の努力をすることを強く要請している。
 これは心強いメッセージであるが、このメッセージが国連総会で事務総長の冒頭スピーチで取り上げられるよう働きかけていたグループがある。IFSMA事務局長やIMO名誉事務局長、そして英国の海運・海事関係に関心深い上院議員たちのグループである。スピーチの草稿を作成し、国連事務総長に届けることは出来たが、世界はあまりにも多くの緊急の課題に直面しており、船員問題が取り上げられる余地はなかった。それでも国連事務総長がWorld Maritime Day に直接メッセージを寄せることはかつてなく、画期的な出来事と思われる。
 IFSMA事務局長は理事会メンバーに対して、これを “Better than nothing” と報告しているが、このグループの努力を大いに多としたい。
 乗組員交代の困難は未だ解消せず、多くの試みがなされているが成果は挙がっていない。海外からの海運関連の情報は温暖化阻止に関する舶用燃料の話と乗組員交代に関するニュースが圧倒的に多い。業界紙の見出しもだんだん過激になってきて “World governmentswarned inaction on crew changes couldhave dire consequences”( 乗組員交代問題に対する各国政府の不作為は重大な結果を招く)という記事もある。
 日本ではこのコロナ禍にともなう乗組員交代の問題について、やや関心が低いようにも思われたが、9 月23日付の朝日新聞の社説に『コロナと船員 「漂流」30万人に支援を』と題して取り上げられ、その内容も行き届いているところから、ひとまず安心したところである。
 本号に何を書くべきか少々迷ったが、IFSMAの現在の最大の関心事も乗組員交代の問題であるところから、前号に引き続き乗組員交代の問題に触れてみたいと思っているが、少し角度を変えて、この問題に深くコミットしているThe Mission to Seafarers(以下 MtS)とその報告書「船員の幸福度指数」についても触れてみたい。「船員幸福度報告書」は前号の続報とも言うべきもので重複する箇所もあるがご容赦願いたい。

1 .The Mission to Seafarersの歴史と活動

 世界の主要な港にはシーメンズクラブと呼ばれる船員の為の福利厚生施設がある。そこでは郵便物を投函したり、切手や絵葉書を買ったり、またビールで喉を潤したり、時には観光のお手伝いをしてもらったりと文字通り長い航海の疲れを癒すオアシスである。このシーメンズクラブは公営のものもあるが、多くはキリスト教関係の民営組織で、なかでも大きいのが英国国教会(聖公会)のThe Mission to Seamenである。この組織は近年になって女性船員も増えたところからThe Mission to Seafarersと改名した。
 MtSは1835年英国Bristolの聖公会の司祭であるJohn Ashley によって創設された。彼はBristol港を子供と散歩していて、その子供が船に乗っている人達はどうやって教会に行くの?と訪ねたことに触発されて船員の為の教会や福祉施設を作ることを思い立ったという。Ashley司祭は有志と語らい、基金を集め1839年には写真のようなカッター “Eirene 号” を建造した。このカッターのメイン・キャビンは100名近くを収容出来るようになっており、これを礼拝堂として、ブリストルに停泊中の船舶の船員を集め、礼拝を行ったという。こうした礼拝堂としてのスペースを持ったカッターや艀は第二次大戦後も実際に使用され、筆者もロッテルダム港でこうした艀を訪問したことがある。
 こうしたAshley司祭の活動に刺激を受けた他の地区の司祭や主教達もそれぞれの地区で同じような活動を始めたが、1856年に全国的な組織となり、1858年には “The Missionto Seamen” を正式な団体名とした。そして宗教・宗派、国籍・人種に関係なく全ての船員に奉仕することを目的とすることを確認した。
 その後The Mission to Seafarersと名前を変えたことは前述の通りである。MtSのシンボルマーク “Flying Angel” は1858年に新約聖書ヨハネの黙示録から取られたもので現在もそのまま使われている。

 船舶も帆船から蒸気船、そして汽船と進化し、また英国海運の進展に伴い、世界各地の主要港にMtSが組織され、また上陸出来る船員のために陸上に礼拝堂を設け、船員のレクリエーションの場としてセンターを設けるようになった。MtSはその後世界貿易の拡大と海運の隆盛に足並みをそろえて活動を活発化させ、一時は世界の250港近くでセンターを運営していたが現在は、世界50ヶ国、200の港にセンターがある。
 MtSの本部はロンドンのシティ、セントポール寺院の近くにあるSt Michael PaternosterRoyal に置かれていた。しかし、近年は急速なキリスト教離れにより、とりわけ英国でその傾向が顕著だが、寄付金の減少など深刻な財政難に加え、コロナ禍にともなうテレワークもそれなりに機能するところから、2021年半ばにビルの賃貸契約が切れる機会に小さな事務所に移転する計画とのことである。
 MtSのパトロンはエリザベス女王で、総裁は女王の長女であるアン王女である。英国の王族は多くの慈善団体や各種団体に関わっているが、アン王女はとりわけ海事関係の活動に積極的に関わっておられるようだ。筆者もロンドン在勤中に海事関連の行事にアン王女が臨席されるのを何度も目にした。  近着の“telegraph” 9 月号にもアン王女がブリストル港を訪問し、コロナ禍にも拘わらず国のサプライチェーンを守り抜く船員達に対して感謝の意を述べたとある。その記事は“Princess Royal thanks seafarers for their‘critical’ role in pandemic” とある。

 アン王女が海事社会の活動に熱心なのは二度目の夫君が海軍将校であることに関係があるかもしれない。夫君のサー・ティモシー・ローレンスは海軍での最終階級は海軍中将である。そしてIFSMA の事務局長Jim Scorerと海軍兵学校の同期生でJim、Timと呼ぶ間柄だそうである。
 アン王女と夫君は昨年10月ラグビーのワールドカップ観戦を兼ねて日本のMtS関係者及び海運関係者と懇談するために来日された。横浜の聖公会教会でミサが執り行われ、その後ホテルで海運関係者を招いて昼食会が催された。
筆者も招かれて出席したが、懇談の際に、Jimがよろしくと言っていましたと伝えると夫君は「ここしばらくJimには会っていないが、元気ですか」との事だった。
 アン王女は2022年にもMtSの会長として訪日の計画があるという。

 MtSはコロナ禍に際して、全世界のセンターに対し従来にもまして、船員への支援を強化するように要請すると共に、MtS本部としても乗組員交代に関する活動を活発化させるためと各国のセンターへの支援を強化するために基金の募集を始めた。目標額は60万ポンド(8,200万円強)である。IFSMAはこれに直ちに応じ、乏しい予算の中から1000ポンド(約14万円)を寄付した。 またICS(国際海運会議所)の理事長は募金の為にLockdownHalf Marathon に挑戦するので、無事走り通せば寄付をしてほしいと呼びかけた。これは自宅でランニング・マシン(t r e a dmill)の上でマラソンの半分の距離、約21kmをひたすら走るのである。 日本船主協会時代にICSに大変世話になった当会の増田技術顧問と筆者はこれを応援すべく、募金に応じた。何時間かけて走り終えたのかは連絡が無かったが、募金協力の礼状が届いた次第である。

2 .The Mission to Seafarersの日本における活動

 日本ではMtSの運営するセンターは苫小牧・横浜そして神戸にあり、神戸が日本の宗教法人としての本部となる。代表役員は前号でも述べたように7 月21日付の日本海事新聞1 面で紹介されたインフォーマ・マーケッツ・ジャパン株式会社社長のクリストファー・イヴ氏(元二等航海士)である。
 日本では1880年(明治9 年)に横浜に開設されたのが最初のセンターである。横浜は現在も多くのボランティアを抱え、活発な活動を展開している。しかし横浜のポート・チャプレンであったサイモン・ロー司祭が本年7月に転属となり、現在は空席となっているが、コロナ禍が落ち着けば新しい司祭が派遣されると思われる。
 横浜におけるボランティアの方々の活動は7 月30日付の日本海事新聞「世界の船員と共に164年」に詳しい。

(1)神戸マリナーズ・センター(KMC)
 神戸は1895(明治28)年に設立。主に神戸港に寄港した船員らに対し、物心両面のサポートを実施してきた。
 戦時中は閉鎖されていたが、戦後再開し1987年からは神戸マリナーズ・センター(以後KMC)として、現在の神戸市中央区元町通に移転した。KMCにはポール・トルハースト司祭、ジョン・ハーグ名誉司祭、事務局、ボランティアスタッフらが活動している。本来は宗教法人としての宗教施設なので聖公会の聖アンドレ教会として、日曜日の礼拝を守るとともに船員の求めに応じ、随時礼拝を行う。
 神戸における活動は、新型コロナウイルスの感染が広がる中で、船員の上陸が厳しく制限されたため、センターは神戸港を中心に訪船の回数を増やし、船員に対するきめ細やかな支援を実施している。特にメンタル面でのサポートを強化できるよう、船員らの現状把握と精神衛生上の環境の改善に努力している。遠く故国を離れ、家族とも会えぬまま洋上で長期間働く人達の不安や孤独感に寄り添うのである。

 入院中の船員の見舞いはもちろん「職場や同僚に知られたくない持病を抱える船員へのサポートも重要」とし、専門医療機関などとの連携も視野に入れている。またまれには上陸中の不祥事で拘留された船員の面会などの支援の実績もある。
 コロナ禍で現在KMCを訪れる船員は非常に少ないが、それ以前は毎月100人~150人の船員がセンターを訪れていた。1970年~1980年代までは英国、ノルウェー、デンマークなどの欧州の船員が大半だったそうだが、近年は殆どフィリッピン、ミャンマーなど東南アジア、中国出身の船員でまれにポーランドやルーマニア、ウクライナなど東欧の船員を見かける程度である。
 センターには礼拝堂があり、日曜日にはミサが行なわれる。ラウンジにはテーブルや椅子が並び卓球台もある。小さなバーがあり、ビールなどのアルコール類も提供出来るようになっている。またラウンジには電話ボックスが二つあり、かつては故国へ電話を掛ける船員がわざわざセンターに来たものだが、最近は利用者は殆どいない。この電話を利用する為のテレホンカードは数少ないKMCの収入源であった。またコロナ禍以前からバーの売り上げも減少傾向が続いてる。Wi-fi に接続するためにパソコンを抱えてセンターを訪れる船員も多く、このための設備の増強も行ったが、こうした需要も減っている。
 物流の形態が変化し、船社の運航形態も変わり、船員の上陸機会も著しく減ったようである。これからはこうした環境の変化を見据えて、センターの在り方も考えねばならない。今後は訪船活動、司祭やボランティアが停泊中の本船を訪問し、要請に応じてミサを執り行ったり、カウンセラーとして悩みを聞いたり、医療機関を紹介したり、通院の手伝いをするなどが中心となると考えられて、それに応ずるため具体的な検討も行なわれている。
 宗教法人としての運営は代表役員であるクリストファー・イヴ氏を委員長とする運営委員会が責任を持ち、月一回委員会が開催されている。コロナ禍の最中にある現在ではもちろんテレビ会議である。

(2) ケン・ピータース参事司祭 “C a n o n Ken Peters”
 KMCを語るうえで今年5 月に66歳で亡くなったケン・ピータース参事司祭について触れないわけにはいかない。彼は1983年にK M Cのポート・チャプレンとして来日し、1990年に7 年間滞在した神戸を離れた。その間に現在の元町にKMCを新築し、今日のセンターの基礎を築いたといえるが、困難な事業であっただろう。教会付きの牧師のように信者集団という基盤があるわけではない日本のMtSの運営はなかなか大変だったようで、MtSの機関誌のインタヴューでは、日本では様々な経験をし、多くの事を学んだ。しかし、もう一度勤務するかと言われると考え込まざるを得ないと述懐している。
 帰国後はリヴァプールのMtSのスーパーバイザーとして勤務した後、MtS本部の福利厚生担当マネジャー、そしてディレクターに就任した。ケンはその職責上、世界のMtSセンターを巡り、国内では数多くの海運関係の行事に参加し、講演し、一貫して船員の福利厚生の為に働いて海運関係者には非常に良く知られた存在だった。もちろんIFSMAとの関係もしごく良好で総会のみならず、セミナーなどにも顔を出してくれた。
 またInternational Christian MaritimeAssociation(国際キリスト教海事協会)のメンバーとしてIMOやILOの会議に数多く参加し、常に船員の立場に立った合理的な良識ある発言をし、会議では一目も二目も置かれていた。
 筆者がケンを知ったのも日本からの船員福利厚生についての欧州調査団がMtSについて調査したいとのことで、彼に連絡を取ったのが始まりである。
 筆者が神戸に赴任することが決まった旨を連絡すると、是非是非KMCを手伝ってくれと言われ、「船員送迎用のミニバスのドライバーぐらいなら出来るだろう」というと船員をそんな危険な目に遭わせるわけにはいかない、と言われ管理委員会に参加し、今日に至っている。
 ケンは40代後半に病魔に冒され長い長い闘病生活だったが、治療を受けながら職務をこなし、寛解期には国外出張も多くこなした。もちろん神戸へも何度か来た。また病状が重くなっても決して不平不満を口にするようなことは無かった。確か闘病中にグリニッチ大学で社会保障論で修士号を取得したはずである。まことに船員の為に一生を捧げた人生だった。ここに謹んで冥福を祈りたい。

(3) 神戸マリナーズ・センターの月次活動報告書
 KMCの活動報告書は毎月ポール・トルハースト司祭によって作成され管理委員会に提出される。本年8 月の報告書を要約してみた。
 訪船実績 30隻
 KMCを訪れた船員 14人
 送迎した船員数 7 人
 ミサを行なった回数 9 回
 苦情、福利厚生 医療もしくは
  拘置等に関する支援 0
 キリスト教関連用品の配布 120個


 8 月もまたコロナ禍が始まって以来同じようなパターンであった。センターはこれまでより短い時間のみオープンし、訪船はポート・チャプレンのみで行なった。いずれも船内で乗組員と話すことは出来ず、ギャングウエイの下か舷門で話すだけである。
 8 月は3 隻の船舶から船員がセンターを訪れた。1 隻は売船手続き中であり、乗組員は幸いにも帰国前に上陸の機会が与えられセンターを訪れたものである。センターを訪れた船員はいずれも長期の船内生活から一時的にせよ解放された安堵感を漏らしている。これらの船員は幸運で、今月訪船して話をした船員の殆どがコロナ禍の為に雇用契約が終わっても下船の目処が立たず大きな不満を抱いている。
 訪船活動を続けていると、船によっては上陸も可能なのに船社のポリシーによって上陸を禁じているケースがある。こうした船員達の家族との連絡の要求は強く、多くの船員がSIMカードを求めている。KMCはこれらの要求に対して電器販売店など第三者を手配して応えている。コロナ禍が長引くにつれ、かつての沖売りに類した商人が舷側まで訪れ、電器製品の他に日用品や食料品(チョコレート、ポテトチップス、カップヌードルなど)を販売している。
 MtSの訪船活動はこれまで同様、殆ど問題はなく、多くのターミナル・オペレーターや警備員から歓迎を受けている。
 最近の日本海事新聞の好意的な記事とMtSのアッピールのお陰とで何件かの寛大な寄付を戴いたし(注 日本海事新聞及び船社2 社から多額の寄付を戴いた)、またボランティアを志願する人も現われた。月末にその一人と面談したが、彼女は神戸港で働いており、神戸港とMtSとの関係をもっと発展させるべきだと考えているようだ。短期的にはセンターを訪れる船員も少なく、ボランティアにしてもらう仕事も限られているが、将来を見据えて彼女達と考えてゆきたい。
 KMCの関係者は全員元気である。しかし、今春ポート・チャプレンのインターンとして来日予定であった米国の学生はコロナ禍のため日本政府のビザが発給されず未だ来日が実現してない。早期に事態が変わることを願っている。

3 .「船員幸福度報告書」

 今号は2020年度第二四半期の報告書について触れてみたい(h t t p s : / / w w w .h a p p y a t s e a . o r g /n e w s / a r t i c l e /q 2 -2020-seafarersare-at-crisis-point/)。
この船員幸福度報告調査は2015年から開始された。船上にある船員及び陸上の船員に対して、仕事に対する満足度、労働環境、身体的・精神的な健康状態、家族や友人達との関係など10項目の基本的な質問に回答を求め、それらのデータを船主団体等と共有し、分析し船員の幸福度を指数として報告するものである。
 毎回2000人程度から回答があるという。回答を寄せる船員はタンカーの乗組員、年齢は25歳から35歳までが多いようだ。女性の回答も6 %強を占めている。
 今期の調査では乗組員交代の困難さが現実的そして長期化するのを考慮すると幸福度は低下すると予想されたが、その通りとなり、2020年度第一四半期の6.30/10から6.18/10となっている。これは2019年の第三四半期以来続く低下傾向で大変憂慮される。特に憂慮されるのは賃金・給与を除いて他の全ての項目で幸福度が低下していることであろう。
 賃金・給与について幸福度が6.11/10から6.28/10にわずかに上昇したのは、コロナ禍により長期乗船を余儀なくされたが、その結果長期就航手当などが支給されるため手取りが増えたのであろうと分析されている。また長期のコロナ禍で船社経営の困難さも伝えられるなかで、船社/船舶管理者が定期に賃金を銀行に振込み、それが確実に家族に届いていることに感謝の言葉を綴っている回答も多くあった。
 一方当然のことながら、陸上で待機している船員はいつ乗船出来、職場に復帰出来るかも分らないなかで、不安を募らせ、転職を真剣に考えている船員も少なくない。乗船中の船員も船社の経営破綻、賃金切り下げ、人員整理などの噂に不安を掻き立てられる船員もいる。
 さらに出身国別の賃金格差、すなわち欧州系船員と東南アジア、中東、インド亜大陸出身船員との格差について不満が表面化し、緊張感が増していると報告している。また女性船員の幸福度は極めて低いことは残念である。
 第一四半期報告書では、新型コロナウィルスの感染拡大にともない、船員は不安、困惑、混乱などを反映した船内生活の厳しさを伝えたが、今期の報告書は乗組員交代危機という現実が全面的に暗く重くのしかかり、予定が全く立たない不確定さに基づくフラストレーションと自身のコロナウィルス感染の恐れとそれに伴う医療体制不備への不安のため船員達は前にも増して精神的に過酷な状況にあると分析している。
 船員の多くはMtSを始め海運関係諸団体や労働組合のコロナ禍にともなう乗組員交代危機に関する取り組みを評価するが、政府への不満も表明している。国際物流を支える基幹労働者として評価されることを誇りに思う反面、船員自身が国際的な移動がままならぬ皮肉な現実に諦めの声もある。
 私達はこうした現実を直視しなければならない。

参考資料

1 .Trade winds
2 .朝日新聞 9 月23日
3 .日本海事新聞
4 .神戸新聞 9 月25日
5 .Llyod’ s List
6 .Seafarers Happy Index Quarter 2
7 .IFSMA Newsletter 32
8 .Kobe Report for August
9 .telegraph September 2020


LastUpDate: 2024-Apr-17