IFSMA便り NO.74

冬の理事会(オンライン会議)とニュースレター

(一社)日本船長協会 副会長 赤塚 宏一

 

はじめに

 昨年12月にI F S M A理事会が開催された。
もちろんオンライン会議である。2020年は、2 月にロンドンで行なわれた対面形式の理事会を最後に、これまでの理事会は全てオンライン会議である。オンライン会議で使われるソフトウェアは会長(ノルウェー)の使用しているStarLeaf である。Zoom 等の他のソフトウェアとどこが違うのかよく分からないが、特に支障もなくスムーズに会議は進行する。
会議の開始時間はGMTの12:00に定められているが、日本では午後9 時、チリーでは午前7 時でJuan Gamper船長などは眠そうである。
 会議にはデンマークの二人を除いて全員が参加した。デンマークのFritzは新型コロナウィルスに感染したそうで残念ながら欠席である。 2 週間後、Fritzからはメールが送られてきて、IFSMA役員達のお見舞いのメールに感謝すると共に過去2 週間、間欠的に高熱となり、苦しい毎日だったが何とか回復したとのことであった。
 以下に会員諸兄に興味のありそうな事柄につき報告する。


理事会議事

 会長の開会の挨拶はこれまでの乗組員交代に関するIFSMAの活動と事務局、とりわけ事務局長Jimへの感謝が述べられた。またワクチンがいよいよ実用化の段階にいたり、これがパンデミック終息化の有力な武器となることを望むとあった。

(1) 事務局長報告
 前回理事会( 7 月)以降の報告と言うより、 昨年2 月以降のCovid-19拡大に伴う乗組員交代危機とそれに対処するIFSMA及び関連団体の活動につき詳細な報告があった。
 昨年5 月には「商船船長からの緊急要請」として各国政府への公開書簡(AN OPEN LETTER TO GOVERNMENTS)を発出するとともにI F S M A加盟船長協会宛てに“Letter to Shipmasters” を送った。これはコロナ禍に際して船長の法律上の義務と責任、そして権限について今一度注意を喚起し、合わせて新型コロナウィルスに対する対処方針を示したものである。またIFSMAは国際的な船主団体、海運関係団体、さらには海員組合等とも緊密に連携・連絡し、コロナ禍にともなう乗組員交代の危機、また新型コロナウィルス感染防止への対策など極めて活発な活動を行なったことが報告された。
 さらに、前日に理事会の承認を得て船員交代の促進のための Neptune 宣言(本誌P.63、LROニュース1 月27日参照)に署名したことも報告された。このNeptune 宣言は世界海事フォーラムのイニシアティブで「船員の福祉と船員交代に関する Neptune 宣言」として採択されたが、2021年1 月末の時点で同宣言に署名した海運会社・荷主企業・海運関連企業等の数が327 社となったという。同宣言は海運企業と各国政府に対し、
①船員を基幹労働者と認定して、コロナワクチンの優先接種を実施すること。
②IMO が認定した「パンデミック期間中の船員の交代と移動の安全性を担保するための手続きに関する推奨される枠組み」に従い、既存のベストプラクティスに基づいたThe Star Crew Change Protocolsに従った船員交代を実施/容認すること。
③円滑な船員交代の実施のために海運会社と用船者(荷主)の間の連携を強化すること。
④航空会社は海運会社と連携して、船員交代のハブと船員供給国との間の航空路の確保を図ること―を求めている。
 以上の事務局長報告にたいし、理事会はこれを承認し、尽力をねぎらうとともにさらに一層乗組員交代危機解消と船員の福祉の向上のための努力を期待するとした。


(2) ニュースレター
 ニュースレターはこれまで隔月ないしは3 ヶ月に一度程度デジタル版が発行され、各船長協会宛てに送られ、適宜会員に回覧されている。 またIFSMAのホームページからでも閲覧出来ることとなっている。  今後はこれを原則として月刊とすることとした。ニュースレターの記事の収集、執筆、版権のチェックや編集などは海事ライター・エディターのPaul Ridgeway に年間£2,000(約29万円)で依頼している。 Paul Ridgewayは船乗りではないが、ヴェテランの海事ジャーナリストで長らくのIFSMAのシンパである。 紙面の割り付け、編集、会員への発信などは事務局次長のPaul Owen船長が全て行なっている。
 理事会は月刊となることを歓迎し、また各国船長協会からの寄稿を呼びかけた。
 理事会報告とは別だが、最新のニュースレター(IFSMA Newsletter 36)の一部を紹介してみたい。
 トピックとしては、I F S M Aの活動、IMOの委員会や活動、とりわけ乗組員交代問題については多くの記事がある。 船員の精神的な健康維持に関する記事、船員問題に関するカーディフ大学の最新の調査報告 “The World of the Seafarer”( 世界の船員)の紹介、日本最初のLNGを燃料とするNYKのPCTC(Pure Car and Truck Carrier )“Sakura Leader” の記事もある。
そのなかで特に面白いと思ったのはロンドンをベースとする海事専門法律事務所Campbell Johnston Clark Limited のAndrew Gray弁護士(元英国海軍士官)が書いた記事 “T a c k l i n g t h e s c o u r g e o f container ship fires”( コンテナ船の火災事故への取り組み)である。
 筆者は日本におけるフルコンテナ船就航の黎明期にコンテナに積み込む危険物担当として、危険物規則改正などに携わったことがあるので、現在いかなる問題があるのか興味をそそられたからである。
 以下がその記事の要約である。


コンテナ船の火災事故への取り組み

 『最近の深刻なコンテナ船の火災事故に業界はショックを受けている。この記事では火災の原因とそのインパクト、そして広範な業界関係者がその対策に取り組んでいる現状を紹介する。


コンテナ船火災の発生

 過去10年間は船舶の全損事故は70%も減少した。これは長期にわたる安全管理システムの履行と事故対策プログラムの成果と考えられる。しかしながらこれとは正反対にコンテナ船及びローロー船で輸送されるコンテナの火災事故は増え続けている。ある統計ではコンテナ船の火災事故は毎週発生しており、ほぼ60日毎に大規模な火災事故が発生しているという。2019年には9 隻のコンテナ船の大規模な火災が発生しており、2020年の前半だけでも10隻の火災事故が報告されている。


火災の原因

 この憂うべき事態はサプライチェーンの問題と船舶の構造に関わっている。それは広く蔓延している荷主の危険物の意図的な無申告ないし誤申告、そして不適切なコンテナ船の消火設備である。
 1 年間に海上輸送されるコンテナの約10%、それはおよそ540万個と見積もられるが、それらのコンテナには申告された危険物が収納されている。そのうちの130万個のコンテナには危険物が不適切あるいは不十分な梱包、もしくは不正確な申告のもとに収納・輸送されている。このことからも潜在的な事故の危険性の大きさが理解出来る。
 2020年にニューヨークに本拠地を置くNCB(National Cargo Bureau)がマースク・ラインの支援を受けて調査した報告書によると米国に輸入される危険物500個を検査したところ、そのコンテナの2.5%は船積書類の誤りないしは不適切な申告であり、船舶の安全に深刻な影響を及ぼす可能性があると認められた。また他の調査では年間約15万個の揮発性化合物ないしは爆発しやすい物質を収納したコンテナが輸送されるという。
 意図的に申告されなかったり、間違った申告をされる危険物の中でも、これまで何度もコンテナ火災事故の原因となって悪名高い危険物はCalcium Hypochlorite (次亜塩素酸カルシウム 漂白剤)、リチウム電池そしてチャコール(炭・木炭)である。無申告もしくは誤申告の起こるのは荷主が安い運賃の適用を受けるためか危険物輸送に関する厳しい制限を回避するために起きると理解されている。
 また現存船舶の消火設備がコンテナ火災に適切ではないとの懸念が関係者に広く共有されている。2017年に行なわれた調査では、従来の貨物船の船艙に積載された貨物のための消火装置はコンテナ船には適切ではないと指摘されている。
 煙探知装置及びCO 2消火装置はもともと大きな艙口を持った雑貨船の為に開発されたもので個々のコンテナや気密性がないポンツーン・カバーの下に積載されたコンテナの消火には全く無力である。現在もっと進歩した火災探知機、すなわち赤外線カメラとか熱探知センサーを船艙内に装備すべきとの声が挙がっている。
 SOLAS条約の改正により2016年1 月1 日以降建造される船舶については消火設備について大きな改正がなされた。しかし現存船の消火設備については抜本的な見直しが必要との声がある。それらは防火仕切りによる区画分けや海水を利用して船艙内は勿論オンデッキも冷却して火災の延焼を防ぐシステムなどである。
 オンデッキにはモニターを装備して、必要時に海水のカーテン(あるいはウォーターミスト)を最上段のコンテナからside to sideに張り巡らし、冷却するものである。さらに革新的なアイデアは “HydroPen” なるもので、ドリルでコンテナのドアに穴を開け、ドリルを放水管に取り替えそこから注水するのである。
 十分な装具と設備がなければコンテナ船の乗組員が消火活動を行なうことは困難である。 疑いもなく勇敢でプロ意識の高い乗組員であっても、船上の大規模火災に立ち向かうには外部の助力が必要である。当然のことながら多くの場合船舶は陸岸から遠く離れているだろうし、陸上からの支援があったとしても、この種の火災が鎮火するのには数週間かかることもある。こうした外部の支援、すなわちサルベージ業者の処理能力や対応体制にも懸念がある。


損害と損傷

 海事専門法律事務所として大型コンテナ船の火災事故がどのような重大な結果をもたらすか熟知している。コンテナ船大規模火災が乗組員やその他の人員の死亡や傷害などの重大な人的被害を与えてきたが、それに劣らず海洋環境に与える被害、そして財政的な損失は莫大なものがある。
 人命の損失は言うに及ばず、コンテナ船の火災事故の及ぼす結果は、船体の損傷、時には全損、貨物とコンテナの損失、荷主と船主と傭船者、スペースチャータラー等のクレイム処理、環境保護/汚染防止の為の清掃費用、サルベージ費用、残骸撤去費用、罰金、調査及び法的費用など数多くの費用が発生する。
 ますます大型化するコンテナ船とその積載能力の拡大は船上の大規模火災に世界の海上保険市場及びP&I に甚大なインパクトを与える。被害額は最近では数千万ドル、いや数億ドルにものぼるであろう。2 万TEUのコンテナ船が全損となった場合、10億ドル( 1千億円超)にもなるのではないかと懸念されている。
 そしてこのような超大型のコンテナ船の大規模火災に対処せざるを得ないサルベージ業界や陸上の消防組織にも多大な負担をかけることになる。
 避難港もまた試練を受ける。1 万個もの焼け焦げたコンテナの残骸とその貨物、その多くは無保険で、放棄される以外にないが、これぞまさしく避難港にとっての悪夢である。
 1 個の無申告ないしは誤申告で不適切にコンテナに収納され、大型コンテナ船に積み込まれた危険物がいかに人的・物的そして財政的に莫大な損害をあたえるかは、言い尽くすことは出来ない。


解決策

 もちろんこの深刻な問題に対処すべく、サプライチェーン側及び本船の消火設備改善という2 正面から進められている。
 理想的には全てのコンテナが船積みされる前に収納検査を受けるのが望ましいが、そのような検査費用は莫大なものになるであろう。 全数検査は別として、もっと幅広いスポット検査をすべきであるという声が船社やIMO加盟国からあがっている。
 主要な海運関係者の間ではこの事態に対処するために努力が続けられている。T h e Cargo Incident Notification System (CINS貨物事故報告システム)はこれまでに輸送中に貨物に関連して発生した事故や損害について情報を共有してきた。
 またいくつかのAI(人工知能)を使い先進的なアルゴリズムを用いて、自社のブッキングシステムを精査し、無申告あるいは誤申告の貨物やその可能性のある貨物を洗い出すシステムもすでに実用化されている。ハパック-ロイドの“Cargo Patrol” やジム・ラインの“ZimGuard” などである。またベンチャー企業の中にはブロックチェーン技術を利用して、ブッキングの正確さをチェック出来るシステムを開発している。
 国際海上保険連合(IUMI)と主要な海運諸団体は連名でIMOの第102回海上安全委員会(2020年11月)にSOLAS条約の改正に関する文書を提出した。内容はコンテナ船の火災探知システムや防火設備、消火装置の改良を求めるものである。
 また悪質な荷主に対しては、各国が故意の危険物の無申告などに対しては船舶及び人員を危険に晒す行為として、刑事罰を含む厳格な態度で臨むよう国際的なコンセンサスの確立も必要である。』


(3) メンバーシップ
 船長協会会員及び個人会員とも過去1 年間増減はなかった。一方、協会会員で2020年度( 1 月1 日~12月31日)の会費未納団体がインド、ロシア、フィリッピン、チリー及びトルコと5 団体あり、その額も合計£5,625(約80万円)に上るところから、当該団体にコネのある理事が手分けして督促することとなった。
 また企業会員(Industrial Member)制度を創設して既に数年経つが、未だ会員もいないところからあらためて勧誘活動を行なうこととした。


(4) IFSMA総会
 IFSMAの総会は2019年のヘルシンキ総会まで、毎年各国船長協会の持ち回りで開催してきた。
しかし、E-MAILに代表されるオンラインによる通信状況の画期的なキャパシティ向上で会員と本部、会員相互のコミュニケーションも格段に便利となったこと及びIFSMA本部及び各国船長協会の経費節減も目的として、2020年の総会を取り止め、2021年から隔年開催とすることとなった。
 これには異論も相当あった。主な意見はIFSMAの場合は常設の委員会は理事会の他になく、これに参加するのは役員及び事務局のみで、一般会員(各国船長協会及び個人会員)が意見を述べる場が限られていること、また上記⑵ニュースレターで述べたようにニュースレターもこれまで不定期刊行であることなどを勘案すると、総会が唯一の全会員・事務局交流の場ではないかとの指摘である。
もっともであるが、審議の結果、さらにコミュニケーションを活発化させることを前提に最初に述べたように隔年開催とすることとなったのである。そして2021年の総会についてウクライナ船長協会がオデッサに皆さんをお招きしたいと名乗りを挙げた。ウクライナ船長協会は2018年にIFSMAに加盟したばかりだが、従来から新規に加入した船長協会は財政的・人員的に余裕のある場合は、お披露目の意味もあって総会開催を申し出るケースがあった。
 しかし、コロナ禍の真っ最中、10ヶ月先のこととは言え、オデッサまで旅行し、対面会議を行なうと決定するのは困難だとの常識的な意見が多数を占め、2021年の総会はオンライン総会とすることとなった。具体的な開催形式は今後事務局で検討することとなった。
なお、ウクライナ船長協会からは2021年の総会がオンライン会議となった場合、2025年総会はオデッサでどうだろうかと再度の申し出があった。
 さて、2023年の総会である。2020年2 月にロンドンで開催された理事会で日本で開催出来ないだろうかとの打診があった。これは従来から日本船長協会にとって微妙な問題である。理事会席上では言葉を濁さざるを得ない。
その後、IFSMA会長及び事務局の意向として2023年の総会を引き受けてくれないだろうかとの要請状が葛西会長宛てに届いた。
 ここで少しIFSMA総会について、その背景を説明したい。IFSMAは1974年の設立以来、持ち回りで各国において毎年総会を開催してきた。これまで主として設立メンバーである欧州各国船長協会が主となって開催してきたが、欧州以外でも米国( 3 回)、南ア、ロシアのウラジオストク、フィリッピン、オーストラリア、ブラジル、チリー、アルゼンチン( 2 回)等で開催された。いずれも質素な、開催国の船長協会の身の丈にあった総会であるが、それぞれの国柄を映したオモテナシでどれもが有意義かつ思い出深い総会である。
 隔年開催となった理由は前述した通りであるが、やはり設立メンバーであった欧州各国の多くの船長協会の著しい弱体化であり、総会を開催する体力がなくなったことである。
2023年の総会については、当初ベルギーの会長が意欲を示したものの、わずか数十人の会員では如何ともしがたく開催を断念したとのことである。
 欧州以外の船長協会では設立メンバーでもあった南アの船長協会はかつてダーバンで総会を開催したが、最近は会員の減少著しく、船長協会そのものの存立も危うくなり、IFSMAを脱退せざるを得なくなった。同じく設立メンバーであったイタリア船長協会は相当以前に脱退している。
 こうした状況下で、有力船長協会で一度も総会開催の実績のない日本に総会開催を要請し、それ相応の負担を求めるのは当然のことであろう。さらに、IFSMAとしてはアジアで総会を開催することにより、アジア地域の船長協会の活性化と新しいメンバーの募集を行いたいとの希望がある。具体的には韓国、極東ロシア、ミャンマー、ベトナム等であり、中国については全国的な船長協会組織はないと思われるが、この機会に調査したいとしている。
 IFSMAの3 代目の会長は日本船長協会の会長であった川島裕船長である。会長国で総会を開催するのは、言わば不文律みたいなものであり、当然川島船長もIFSMA総会を日本で開催すべく尽力された。当時筆者はIFSMAには直接関わっていなかったので、詳しい事情は分らないが、事務局と北欧勢との対立や選挙などやや込み入った問題があったようで、日本で開催されることはなかった。
 IFSMA事務局の要請にたいし、葛西会長は新型コロナウィルス感染拡大のさなか、理事会どころか日常業務も何かと制限を受ける中で長期計画を立てるのはいささか困難との理由でしばし猶予を求め、12月の日本船長協会理事会に諮られた。理事会では理事のご理解を戴いて総会引き受けの方向で進むことが確認された。IFSMA副会長としてはまことに嬉しく席上お礼を述べた次第である。
 IFSMA理事会では日本船長協会理事会の理解を以て臨んだ。そして “It was agreed provisionally to hold BGA(Biannual General Assembly) in Tokyo Japan in 2023”となった。開催時期は多分秋であろう。
 IFSMAは各国船長協会及び個々の船長が職業人としての誇りを持ち、自らのためと広く社会のために海上交通の安全と海洋環境の保護のために結束(Unite)した組織である。
そしてその運営はボランティア精神であり、奉仕活動である。社会的な責任感に裏付けされたIFSMAから、有力船長協会でありながらこれまでも一度も総会開催の実績のなかった日本船長協会が総会開催の要請を受けたら、進んで引き受けるのが、国際的な礼儀であり、 日本の船長の責任感と連帯感を示すものと考える。そしてこれは日本船長協会の問題に留まるものではなく、世界有数の海運国である日本海運の威信を示す機会でもある。
 2023年のIFSMA総会は、事業報告、役員の選挙や規約の改正、新規加入メンバーの承認などのいわゆる会務はもちろんあるが、2日間の会期の多くは会員及び海事・海運関係の専門家によるプレゼンが多くを占める。また開催国の海事・海運関係事情の紹介、具体的には海事教育・訓練機関の紹介、船社の安全運航管理のシステム、海洋環境問題に対する取り組みなどが多い。この機会に日本の優れた海事教育訓練や安全運航管理、あるいは海洋環境保護活動などもぜひ紹介したい。
 あらためて、ここでIFSMA総会引き受けに理解と支援を戴いた理事の方々、また今後ご負担を掛けるであろう葛西会長を始め役員の方々、執行部、事務局の方々にお礼を申し述べたい。


(5) IFSMA本部事務所
 I F SMAは創立以来事務所を置いていたIMO本部近くのMarine Societyから2018年、経費節減のため、現在の事務所に移転した。
新しい事務所については月報第447号(平成30年10月・11月号) で報告したようにIMarEST(海洋工学科学技術学会)のビルの中に机が一つあるのみである。デジタル化の時代にあってもさすがに手狭であることは言うまでもない。
 本件について事務局長から下記説明があった。
 「コロナ禍に伴う本船乗組員の交代危機に際し、ITFとICSを中心に労使双方が密接に連携し、大きな成果をあげたところである。
 ITF は現在事務所を改装中であり、スペースにも余裕が出来るようになるので良ければ格安で提供してもよいとのオファーがあった。
 IFSMAは言うまでもなく船主側とも組合側とも一線を画した組織でUnity for Safety をモットーとして船長のために活動している。
一方IFSMAの取り組む課題として、船員の公正な取り扱い、安全確保のための当直体制の改善、後進の教育など人的要因も多く、ITFやSRI(船員国際人権センター)などと連携する有益さも痛感している。ついてはこの話をもう少し進めたい(Investigate)」。
 これに対し、当然ながらITFと同じビルに事務局を置くことについて、関係者に誤ったメッセージを与えるのではないか、中立性は阻害されないか、それぞれの協会の会員はどう思うのだろうか、との懸念も表明された。
しかし、大勢はIFSMA活動に必要な資源や情報が豊富にあり、それを有効に活用・利用できる環境に位置することは望ましいことではないかとの意見が多数で、引き続き話を進め、逐次理事会に報告することとなった。


おわりに

 Cal Hunziker船長は会議終盤に、自分が肺がんのステージⅣでこの先長くはないと、今週診断されたことを告白し、ここで皆さんにこれまでのお礼とIFSMAの発展を祈りたいと発言。会議はこの思わぬ出来事に粛然、予想もしなかった愁嘆場となった。
 Hunziker船長は、昨年、米国船長協会会長として再登板しており、意欲満々と見受けたのだが、一挙に暗転した。
 理事会一同は心から回復を祈った次第である。


参考資料

1 .月報第447号 平成30年10月・11月号
2 .月報第457号 2020年6 月・7 月号 
3 .国際海洋情報 2020年1 月28日


LastUpDate: 2021-Sep-17