船員の犯罪者扱い
Seafarer Criminalisation
(一社)日本船長協会 理事 赤塚 宏一
はじめに
この冬、船員の犯罪者扱い(seafarer criminalisation)に関する記事を多く目にした。理由の一つとしてInterManagerが1 月末の総会にこの問題を取り上げキャンペーンに乗り出したことが要因かもしれない。InterManagerとはご存じの方も多いと思うが船舶管理会社の国際団体である。本部はロンドンにあり、理事長はCapt. Kuba Szymanskである。本稿を書くに当たりCapt. Szymansk に連絡をとったところ、邦船社の関係会社でマネージャーを務めたこともあり、日本の海運業界や船員事情にも通じている。
このところの船員の犯罪者扱いに関する情報は本稿末に参考資料として挙げてあるが、“Seaways”, “Telegraph”, Lloyds List, Trade Windsなどがある。船員の犯罪者扱いについてはこれまでIFSMA便りでもテーマとして取り上げ幾度も触れているし、また会誌「船長」(第133号 平成28年(2016年) 3 月)でもかなり詳しく述べてきたので、今回はあまり詳細な考察は行わないで、最近の船員の犯罪者扱いの情勢について得られた資料に基づき概観してみたい。なお、Seafarer criminalisation の訳語についてはこれも既に述べたところであるが、船員に対し刑事責任を追及することなのであろうが、船員関係者がこの言葉を使う時、船員に対する不当な拘禁、取り調べ、処罰などを意味し、官憲や関係機関に対して不当な行為であると抗議するニュアンスが強いのでこれまで通り「船員の犯罪者扱い」としておきたい。
InterManagerのキャンペーン
InterManagerは、世界の一部の地域で船舶の乗組員に対するますます厳しい扱いが行われていることを懸念している。船舶管理業界の業界団体であるInterManager は、広く国際的にデータを収集し、IMOやILOなどの国際機関や海運業界団体、そして関係者に対して、船員が関与する海難や事故で「犯罪者扱い」されているケースの数など、船員に対する当局の過酷な扱いを強調し告発する取り組みを開始している。海運業界内では、当局が船舶に何か問題を発見した場合、十分な証拠もないのに船員が不当に拘束されるという懸念がある。多くの場合、船上で麻薬など薬物が発見された場合だけでなく、もちろん海難事故など他の状況でも起こりうる。ほとんどの場合、船長を始め上級士官が拘留されるが、乗組員全員が拘束され、起訴されずに長期間拘留され、適切な法的代理人や支援がないこともよくあると、InterManagerの事務局長であるCapt. Szymanskは述べている。
InterManagerがまとめた初期データでは、118件の犯罪者扱いが特定されているが、実際にはさらに多くのケースがあると思われる。報告されている限られた初期データによると、事例数は増加しており、2023年に23件でピークに達し、2024年にはさらに17件となっている。
犯罪者扱いされた船員の例として、裁判なしでメキシコの刑務所で2 年間過ごしたポーランド国籍のアンジェイ・ラソタ船長が挙げられている。彼は、彼が指揮する船の貨物の石炭の中から240kgのコカインが埋もれているのが発見された後、「自分が指揮した船が禁止薬物を運んでいたかもしれないことを認識しなかった過失」で起訴された。これらの薬物は、同船の航海士によって発見され、船長が揚げ荷を中止するよう命じた後、当局に報告された。乗組員全員が武装警官に逮捕され、3 ヶ月間拘禁され、同船長はさらに長く拘禁され、麻薬密売の罪で20年の刑を受ける可能性に直面した。しかし彼は最終的には、起訴はされずに592日間の悲惨な獄中生活から釈放されたが、健康状態が悪化し、体重が50ポンド(約23Kg)以上減少したという。
船上で薬物が発見された後、ヨーロッパで乗組員が拘束された同様の例は他にもある。トルコは、船内でコカインが発見された際、船長と一等航海士に長期の懲役刑を言い渡した。インドは、寄港中にコカインが船から押収されたとき、ベトナムの貨物船の乗組員を1 年間裁判も行わずに拘留した。これにより機関士の一人が船外に飛び降り大怪我をしたが、これは明らかに自殺未遂であった。たまりかねた、乗組員はその後、解放を勝ち取るためにハンガーストライキを行った。
「日々の船内の業務を誠実に遂行している乗組員達がこのような過酷な取り扱いを受けるのは決して許せない」とCapt. Szymanskは言っている。「これは国際機関や関係団体の最高レベルで対処すべき問題であり、IMOがこの問題について船員の懸念を真剣に受け止めていることを嬉しく思う。」と続けている。
InterManagerは、上級士官が犯罪者扱いされるリスクが最も高いと報告している。これまでに収集された統計によると、63%のケースで、船長が投獄されていたことが明らかになっている。タンカーの乗組員は、逮捕者が最も多い船種(29%)で、次いでばら積み貨物船(19%)、一般貨物船(14%)となっている。
船員の犯罪者扱いは世界中で起こっているとInterManager は述べている。こうした例はアジアで最も多く、ヨーロッパと南北アメリカの両方でもかなりの数が発生している。
InterManagerは、船員の犯罪者扱いに関する統計を整備する予定で、広く関係者に情報を提出するよう求めている(これについては後述の“Seaways” でも会員に対し情報の提供を呼び掛けている)。また、IMOやその他の海運業界の関係団体とデータを共有する予定としている。
Nautical Institute
Nautical Institute はこの種の問題はあまり扱わないように思うのだが、その機関誌“Seaways” 2025年2 月号には “Equal treatment on seafarer criminalisation” という投稿があり、その副題は “A call to action for shipowners and P&I Clubs” となっている。筆者のLi Rongcunは大連海事大学を卒業した中国人弁護士でNautical Instituteの準フェローである。
これは船員が乗船中の事故やあるいは過失などで訴追や訴訟となった場合に十分な支援を求めるものである。特に拘禁中における訴訟への法的な支援は条約や国際的なガイドラインがあるにも拘わらず全くもって不十分であると指摘している。そしてその支援も船社によりP&I クラブにより大きな差があると次のように述べている。
『船社及びP&Iクラブの船員に対する支援はまちまちで、こうした差別は次のような疑問を呼ぶ。現存する国際条約、労働協約、P&I約款あるいは船員の雇用契約はこのような場合、どの程度の支援、特に法的な支援を行うのかを明記した文言はあるのだろうか。
もちろん2006年の海上労働条約があり(第4 章「健康の保護、医療、厚生及び社会保障による保護」の第4 .4 規則「陸上の厚生施設の利用」のもとに「外国の港における船員」と題する指針(B4. 4. 6)が置かれている)、IMOの海難事故調査コードがあり、IMO/ILOガイドライン(後述、Nautilus International、P. 6)がある。これらの規定やガイドラインは寄港国、沿岸国、旗国、船員の国籍国そして船主の責任に触れている。しかしこれらの規定やガイドラインはごく一般的な規定であり、最低限のものにしか過ぎない。前述のB4. 4. 6 指針ではその2 項.「外国の港で拘禁された船員」は、「正当な法の手続きに従い、及び領事上の適当な保護を得て、迅速に取り扱われるべきである」としているのみである。さらにこれらの規定の多くは強制ではなく任意規定である。
私達は船員の犯罪者扱いのケースを取り扱うことでアクセス可能となったいくつかの大手船社の雇用契約や労働協約を調べる機会を得た。どのケースでも海難事故や海洋汚染などで犯罪者扱いされた問題に対しては、法的な助言、財政的な支持やその他必要な支援についてはあったとしてもほんの数行しか記されていない。
世界的な規模のP&Iクラブの約款を精査しても船員が自分自身を弁護する費用や経費を弁済する規定はない。P&I クラブは通常船主、用船者や運航者のリスクと責任を償うことを目的としており、それには船員は含まれていないのである。International Group of P&I Clubに属しないある一つのP&Iクラブのみがこうした船員の犯罪者扱いにともなう費用を支払うことを明記している。P&I クラブのこうした規定は仮にあったとしても曖昧で恣意的でほとんどはクラブの判断に任され、支払われたとしても実際の弁護費用をカバーするには足りないことが多い。
船舶運航過失により犯罪の嫌疑または有罪判決を受けた船員に関する法律、協定、または保障が不十分かまたは欠如していることは否定できない事実であり、これにより、外国でただ一人で拘禁され、孤立した無力な状況に置かれている船員が存在する。遠く故国から、家族からも離れ、決して意図的ではない単なる過失、あるいはその容疑でもって一人外国で拘禁されてこの先の不安に脅かされている船員にたいして船主とP&Iクラブの積極的な支援は絶対に必要である。』
そして筆者のLi Rongcum は船主及びP&Iクラブに対して、こうした船員達に対し、財政的に精神的にまた法的に力強い支援を直ちに行うよう強く求めている。その上で
『これは、船員の尊敬と忠誠心を獲得し、社会と産業の安定を維持し、長期的にビジネスを育成し継続して成長させる上でも有益である。』と結んでいる。
Nautilus International
Nautilus International(英・蘭・瑞船舶職員組合)の機関誌“TELEGRAPH” はその2024年11月/12月号で豪華ヨット“Bayesian”号の沈没事故に関連して、組合員がこうした海難に遭遇した場合のためにWebinarを開催し、その模様を伝えている。この海難は日本でも一般紙でも報じられたが全長56メートルの豪華ヨット“Bayesian” 号はイタリアのシチリア島沖で2024年8 月19日朝沈没した。同号にはイギリス、アメリカ、カナダ国籍の22人が乗っていた。うち、1 歳のイギリス人の女の子を含む16人が救助されたが6 人が行方不明となっている。行方不明者の中には、金融業のモルガン・スタンレー・インターナショナルの役員や、英テクノロジー大手の創業者などが含まれているという。
イタリア・メディアによると、地中海の西半分は、先週半ばから激しい嵐に見舞われていた。本船は一晩中激しい嵐に翻弄された。そしてウォータースパウト(waterspout)が発生しこれに巻き込まれたと思われ、現地時間午前5 時ごろに転覆したとみられている。ウォータースパウトは水上に出現する円柱状の強い空気の渦で、日本では水上竜巻と呼ばれているそうだが遠海や近海、大きな湖の上に発生することがある。
本船は錨泊していたのだが、マストが折れて船がバランスを失い、シチリアの首都パレルモに近いポルティチェッロ村の沖合で沈没したという。豪華ヨットの沈没事故で、また有名人が犠牲になったこともあり、欧州では注目を集め、それだけに乗組員に対する取り調べもかなり厳しいもののようである。
講演はNautilusの法務担当理事のCharles Boyle によってなされたが、Youtubeでも視聴出来る。
(Criminalisation:how to protect yourself when disaster strikes!)
講演は海難事故が発生した後、いかに官憲の取り調べに対処するか、そしてNautilus がいかに組合員に対して支援出来るかを述べたものである。事故後は組合や船員支援団体あるいは法律事務所などと出来る限り連絡をとり、ためらうことなくそれらの支援を受けること、そして何より重要なことは発言には慎重の上にも慎重にすべきだと繰り返している。発言は全て記録され、海難審判であるいは裁判で己に不利な証拠として突きつけられることがあることを警告している。そしてこんな警告も発している。“Once the Genie is out of bottle it can’ t be put back in again”.“Genie” とはイスラム神話の魔神だそうで、「覆水盆に返らず」か「綸言汗のごとし」ということだろうか。この講演を受けて同じく2025年1 月/ 2 月号の“T E L E G R A P H” はILO(国際労働機関)とIMO(国際海事機関)がCriminalisationに関する新たなガイドラインを採択したことを報じている。これは2024年11月26日〜28日にスイスのジュネーブで開催されたILO-IMO合同三者作業部会の第3回会合で採択された“Guidelines on fair treatment of seafarers detained in connection with alleged crimes”(「犯罪容疑に関連して拘禁された船員の公正な処遇に関するガイドライン」)である。このガイドラインは次回のIMO法律委員会(2025年3 月)に提出され、採択されるとともに、ILO理事会にも提出され是認されたら加盟国に送付し、その適切な運用を求める。
このガイドラインの目的は、犯罪容疑に関与した船員の人権及び正当な権利が認識されること、犯罪容疑に関連して拘禁された船員が公的機関によって公正に扱われること、及び寄港国又は沿岸国の法律に従って、捜査又は拘禁が必要期間を超えないようにすることであり、寄港国、沿岸国、旗国、船員の国籍国、船主、船員への指針を含んでいる。いずれ内容について詳細に報告したいと思うが、今回は紙数の関係もあり省略する。
このガイドラインについて上述の合同三者作業部会において船員部門のスポークスマンを務めたNautilusの事務局長であるMarkDickinsonは『このIMOとILOのガイドラインは犯罪容疑で拘禁されている船員は取り調べにおいて、あるいは関係当局に拘束されている期間において常に公正に処遇されること、そして必要以上の拘禁を行わないことを保障するよう求めている。さらに関係当局は、真にグローバル産業である海運の基幹労働者である船員の特別な役割と地位を認識し、そして複雑な法律体系の影響下にある船員については十分な配慮が必要なことを理解するよう求めている』としている。
TradeWinds
上述のガイドラインについては3 月21日付のTradeWinds も “Speak out for seafarers unjustly imprisoned for doing their jobs”「業務をしただけで不当に投獄された船員のために声をあげよう。」という記事の中で触れているので一部を紹介する。
『IMOが来週( 3 月24日)、犯罪容疑で訴追された船員の公正な処遇を確保するための新らしいガイドラインを審議することは、トルコの刑務所に収監され、30年の懲役刑に服している2 人にとっては、慰めにならないだろう。公正な裁判と法的保護を求める要求は、ここで取り上げる船長と一等航海士にとって、時すでに遅しだ。同様の事例は、あるはずのない海底の石油パイプを投錨したことによって破損させたとされる事件の後、蚊が群がるインドネシアの独房で10年間服役中の中国人船長、Capt. Zhang Deyi にも言える。あるいは、赤道ギニア共和国の刑務所に収監されている2 人の南アフリカ人機関士についてもそうだろう。彼らの支援者たちは、同国が薬物疑惑をでっち上げ、その後に茶番のような裁判を行ったと主張している。二人の機関士は、南アフリカの裁判所が赤道ギニアの副大統領所有の豪華ヨットや別荘を差し押さえたことへの報復として、政治的な人質として収監されていると言う。
これらの事件は、船員特有の立場の弱さと、船員を代弁する声がいかに小さいかを浮き彫りにしている。そしてこれらの事件や他の多くの船員に関する事件は、不当な訴追や訴訟から船員の安全を守るために、数十億ドルの経済規模の世界の海運業界が怠ってきたことや、その限界を露呈している。
このILO/IMOの新しいガイドラインは、船員、船主、関係団体、 国際機関が昨年11月に協議した成果であり、新たな権利を追加するのではなく、既存の権利を「補強」することを意図している。これらの基本的権利は、船員に対する容認できない取り扱いに対処するために締結された2006年海上労働条約、いわゆる船員権利章典の下で既に認められているはずだ。
また、推定無罪の原則と正当な法的手続きを強調し、船員に必要な「特別な保護」に焦点を当て船主、寄港国、船員の国籍国の責任を定めている。これは、船員の利益を守る役割を担う団体が、その責任を確実に果たすためのものだ。世界各地で船員の犯罪者扱い件数が増加していることは、この条約が十分に機能していないことを示している。前述のMark Dickinson は、こうした犯罪者扱いされた船員は「多地域にまたがる海事法規の泥沼」のスケープゴートになってしまうと指摘する。(中略)
船員をスケープゴートにした事件で、国の指導者たちが行動を起こすことはめったにない。政府に行動を起こさせることが出来るのは、家族やその支援者達によるよほど効果的なキャンペーンが行われた時のみである。よく言われることだが、海運業界が責めを負うのは自分自身だけだ。複雑なオフショア財政・金融構造や多国籍船員を抱える海運業界とその従業員のために、国の政治家が動くことはほとんどない。票にならないからだろう。国を、そして政治家を動かすことの出来るのは海運業界であるはずだ。旗国や船主はもちろん船員家族よりも資金に恵まれているが、優れたキャンペイナーであることはほとんどない。あまりにも長い間、海運業界の多くの部門は、もっとも重要な労働力である船員のニーズを声高に取り上げるよりも、経営管理に重点を置いてきた。
フーシ派政権に拘束されたギャラクシー・リーダー号の25人の乗組員は、犯罪者扱いされたわけではなかったが、「忘れ去られた」と感じていることが最も恐ろしかったと語った。
来週開催されるIMOが、このような忘れ去られた船員に何らかの形で対処することになるのであれば、それは決して遅くはないだろう。』
おわりに
IFSMAのNEWSLETTER “The Shipmasters’Voices” Number 86 March 025で事務局長のCmdre Jim Scorer は巻頭言で船員の犯罪者扱いについて次のように述べている。
『今月は、IMO簡素化委員会(FAL 49)と法律委員会(LEG 112)の両方が開催され、IMOは多忙な時期を迎える。特に重要なのは、MASS(自動運航船)と遠隔操船センターのオペレーター資格、「犯罪容疑に関連して拘禁された船員の公正な処遇に関するガイドライン」である。ITF(国際運輸労連)とICS(国際海運会議所)は、年内にこの件に関する合同セミナーを開催する予定だ。
ごく最近、すなわちこの1 月にある船で貨物から麻薬が発見され、密輸したとされる船長と航海士に懲役30年の判決が下された。しかし、法廷では彼らの犯行と決めつける何の証拠も提示されなかった。このため、いくつかのNGOが集まり、「船員の犯罪者扱いワーキンググループ」を結成し、本件を検証し対策を検討することとした。
これらは、すべての船員の将来にとって重要な活動であり、今後の進展状況を逐次報告する。』
英語に“Scape Goat”(贖罪の山羊 他人の罪を負わされる者)という言葉があり、今や 「スケープゴート」として日本語でも通用している。船員の犯罪者扱いについての事例を読むとこのスケープゴートという言葉が真っ先に思い浮かぶ。海難事故、海洋汚染事故あるいは薬物の密輸事件など船舶がからむ事案については真っ先に船員が拘束される。まさに警察や港湾当局あるいは税関当局の無能を象徴するような処置である。手近に居り逃げも隠れも出来ない船員を何の確たる証拠もなく逮捕するのだ。まさしくスケープゴートである。そして当然与えられるべき法的な保護や基本的人権すらも考慮されない。これはIFSMA事務局長の言うようにまさに船員の将来、もちろん今海上にある船員にとっても極めて重要かつ深刻な問題である。このワーキンググループやIMOの法律委員会には参加してみたいと思うのだが、せめてその報告書など熟読したいと思う。
参考資料
1 . ‘Equal treatment on seafarer Criminalisation’“Seaways” February 2025
2 .Nautilus International “Telegraph”November/December p.30 2024 January/February 2025 P.16
3 .“TradeWinds” 21March 2025
4 .IFSMANEWSLETTER “The Shipmasters’Voices” Number 86 March 025
5 .“Report for LEG 112” by IFSMA SG 28 March 2025