2003年12月10日発表 |
全体的に改善されるも、小型船に問題を含む |
船長協会、第7回「外航船実態調査」を実施 |
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社団法人・日本船長協会(澤山 惠一会長)はこのほど、「外航船実態調査」の結果をまとめました。この調査は1997年から毎年1回実施しているもので、本年も4月1日から4月30日までの1ヶ月間、日本の各港に入港する外航船に乗船して水先業務を行っている全国39の水先区水先人に依頼して調査を行うもので、今年が7回目となりました。調査項目は合計14項目で、設備・性能関係が船体整備、主機、操舵機、バウスラスター、揚錨・係船設備、レーダー・衝突予防装置、ジャイロコンパス、海図、パイロットラダー、性能表の表示の10項目、乗組員関係がコミュニケーション、パイロット乗下船時の士官アテンド、船長・航海士の能力、部員の能力の4項目としました。又、調査対象となった1,388隻の船舶の国籍は50カ国、乗船していた船長の国籍は56カ国に及びました。 |
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調査船舶のうち、何らかの問題が指摘された船舶は全体では34.29%で昨年の39.70%を5.41ポイント下がり改善されました。
船型別にみると、1万トン未満の指摘船舶数(指摘率)は145隻(51.97%)であるのに対し、1万トン以上の指摘船舶数(指摘率)は331隻(29.85%)で、調査開始以来7年間1万トン未満の船舶の指摘率が高くなっています。
本年度、指摘船舶数、指摘船舶率とも最も高くなったのは、千トン未満の船舶に変わり千トン~5千トン未満の船舶となりました。(別表1参照) |
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問題指摘数でみると、設備・性能関係では725件(52.22%)で、昨年の877件(62.96%)より改善され、乗組員関係でも360件(25.94%)で、昨年449件(32.23%)より改善されています。
調査項目別にみると、設備・性能関係で問題指摘件数が多いのは、例年通り海図で、1388隻中212隻(15.27%)に何らかの問題が指摘されており、昨年より指摘件数は減少しましたが、調査開始より常にトップとなっています。乗組員関係で何らかの問題が多く指摘されたのは、部員の能力が156隻(11.24%)、船長・職員の能力が127隻(9.15%)となり、どちらも昨年より改善されました。(別表2参照) |
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船舶国籍別に見ると、調査対象船舶が5隻以上の国の中で問題指摘船舶の割合が高い国は、 カンボジア、ロシア、ベリーズ、セントビンセント、アンティグアで、低い国はブルネイ、バヌアツ、日本、台湾、デンマークとなっています。(別表3参照)
カンボジア、ロシア、ベリーズはここ数年、問題指摘船舶の割合の高い国の上位を占めています。
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船長国籍では、パキスタン、ロシア、中国、香港、ポーランド等の国籍の船長が乗船している船舶に問題指摘船舶の割合が高くなっており、日本、イギリス、オランダ、マレーシア、デンマーク等の国籍の船長が乗船した船舶は指摘割合が低くなりました。(別表4参照) |
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船齢別に見ると、調査対象船舶1,388隻の平均船齢は9.86年。入港船舶5隻以上の国の中で最も平均船齢が高かったのは、ブルネイ(24.50年)、以下カンボジア(22.20年)、ロシア(21.63年)、
ベリーズ(19.89年)、セントビンセント(17.10年)の順で、最高船齢はリベリアの47年でした。(別表5参照) |
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PI保険については、船長に対してアンケート方式で調査を実施し、本年度は調査船舶数1,388隻中1,314隻がPI保険に加入しており、加入率は94.67%でした。非加入船は11隻(0.79%)、不明船は63隻(4.54%)でした。(別表6参照) |
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