第48回 宮崎県東臼杵郡諸塚村立諸塚中学校

 
(社)日本船長協会 技術顧問  池上 武男

1.開催に至った経緯

 九州山脈に尾根を連ねる急峻な山間に、林業を主産業とする山村の諸塚村があります。日向市からいにしえの主要な水上交通路であった耳川に沿って国道327号線を車で約1時間走って待ち合わせ場所の諸塚村役場に立ち寄り、甲斐助役を表敬し懇談をしていると、諸塚中学校の緒方校長先生が車で迎えに来てくれ同乗して中学校に向かった。

校長室にて緒方宗雄校長
校長室にて緒方宗雄校長

 今回の講演会は、緒方校長が日本教育新聞に掲載された記事を見て講演会事業を知り、協会に問い合わせてきて実施することになった。

当中学校では、総合的な学習の時間のなかで2年生(14歳)を対象に昔の元服にちなんだ立志式の行事を行っており、これにあわせて記念講演会として「船長、子供達に海と船を語る」の実施を希望してきたものです。

 立志式では2年生全員が一人ずつ今後の生き方に対する決意を表明する儀式で、我々の講演も単に海と船の話だけではなく子供たちが将来に生きる目的と夢を持てるような言葉を添えることに努めた。

耳川沿いのR327を行く   山間の校舎
耳川沿いのR327を行く   山間の校舎
     

2.講演会

 当日は、恒例の立志式であり1~3学年全生徒(83名)、来賓を含む学校関係者15名、及び保護者20名の合計120名が出席して13:35から開始され、その後に引き続いて14:35から我々の記念講演となった。教頭先生の司会で始まり、校長先生の挨拶と我々の紹介のあと、森本会長による挨拶と人間と海との関わりや海上輸送の話があり、協会作成の「海と船」上映のあと池上の講演が始まった。

 公演内容は、

・日本の海は広くて大きい

・海の大切さと自分の海は自分で守る

・海賊の話

・船長として印象に残った航海の話

をパワーポイントを使って講演し、最後に、自分は船員という職業を選んでよかったと思うが、皆さんも何でも良いから自分の将来に夢を持って、その夢を実現するために体を鍛え、勉強し夢に向かって一生懸命に生きて欲しいとエールを送って講演を終わった。

立志式   森本会長挨拶・講演
立志式   森本会長挨拶・講演
     
池上船長講演講演を聴く保護者   講演を聴く保護者
池上船長講演講演を聴く保護者   講演を聴く保護者

3.むすび

 全校生徒が100人に満たない山村の中学校の立志式に立ち会う機会を得て、2年生の生徒が一人一人壇上に上がって校長先生に向かって自分の決意を宣言する光景は、厳粛で素晴らしいものでした。引き続く講演会を聞く態度も真剣でなんと素直な子供たちかと感動した。

 最後に生徒代表による御礼の挨拶をもって記念講演会は終了し、我々は清清しい気持ちで会場をあとにした。帰りは、日用品を買いに行くという校長先生の車に同乗して日向市のホテルまで送っていただき途中、ご当地の話題に話が弾んで物足りない気持ちで別れた。

<(社)日本船長協会 技術顧問池上武男記>

   
 



LastUpDate: 2024-Apr-17