第122回 東京都葛飾区立青戸小学校

日本郵船㈱船長 近森茂雄

 
 昨年25年10月5 日、我が家の三兄弟がお世話になった地元・葛飾区立青戸小学校で、恩返しの意味を込め、「船長、海と船を語る」講演をさせていただいた。
 
 2000年3 月、ノルウェーのトーンズバーグという町に転勤となった。同年の夏休み、青戸小学校に入学したばかりの長男を含め、家族全員を呼び寄せた。最初は言葉が分からず、泣きながら学校に通った長男も、友達ができ落ち着きを取り戻した頃から、それなり楽しく通学。下の二人は、保育園で他の子ども達とコミュニケーションがうまく行かず喧嘩ばかり。小雨のある日、家内が様子を見に行ったら、数人の子供が、砂場で小雨に頬を打たれながら昼寝していた、また、別の日には、おやつにリンゴの木をゆすって落ちてくる実を子供達に与えているのを見たと。何ともたくましいというか、大雑把というか、さすがはバイキングの国と感嘆したものだ。
 そして二年半後に帰国。長男が4 年生、次男が2 年生で青戸小学校に入学。ついていけるか不安であったが、要領の良い長男は難なくクリア。一方、次男は、体育の授業で、運動会の練習に参加、リレーの走者に指名され、バトンを受け取って走りだしたまではよかったが、円周に沿って走らず、まっしぐらにゴールに向かって走り、他の生徒達からブーイングを受け、すっかりしょげて帰ってきた。三男は、幼稚園年長からの再スタートなるも、サッカーを始めたことがきっかけで、小学校でも居場所を得たような気がする。
 今では、大学二年生、高校三年生、一年生へとそれぞれ順調に成長しているが、これも偏に青戸小学校での温かい教職員の方々のお蔭であると感謝にたえない。
 そうした恩返しをしたいという思いもあり、学校側に「船長、海と船を語る」の企画を提案させていただいた。そして、10月5 日(土)の「葛飾教育の日」の「道徳授業公開講座」に引き続いて10時30分から11時15分まで、4~ 6 年生125名の児童を対象に講演を実施することとなった。
 我々は、船に乗れば「カタフリ」と称して乗組員相手に大いに語るわけではあるが、家庭や地域社会で自らの体験や、海や船の話をする機会は少ないように思う。我々が海の上で当たり前と思っていることでも、一般の人々にはとても新鮮に感じられたり、また、我々が大自然と対峙して体で学んできたことは、そのまま、陸上の人々にとっても生きる上でのヒントになることもある。さらには、これから社会に船出していく子供達にとっても大いに励みにもなるものと確信することができた。また、準備にあたり、自身の半生を振り返り、「自分が船乗りとなった」事の意味を見出すよきチャンスでもあったと思う。是非これからも多くの会員の皆様が積極的に参加されるよう願っている。

講演風景



海上の友 平成25年10月21日

 

東京都葛飾区立青戸小学校生徒達の感想文

生徒達の作文///

 


LastUpDate: 2024-Apr-17