第148回・第149回 MOL マリンにおける講演会

(一社)日本船長協会事務局 

MOL マリンにおける講演会

 

開催の経緯など

 2015年は、IMO が主催するワールドマリ タイムデー・パラレル・イベントが日本にお いて開催される年であり、海の日が祝日に制 定されて20年になるという節目の年でもあっ た。海運業界においても、いろいろな海の日 のイベントを開催することになりました。
 このような動きの中、日本財団が「海でつ ながるプロジェクト」(政府、民間法人、大 学等が連携するプロジェクト)の一環として、 「あなたのまちの海の日サポート」プログラ ムによる助成システムを設けた。これに日本 船長協会は、MOL マリン株式会社と共同で、 「子供たちに操船シミュレーターを体験して もらう」を企画し、応募したところ承認を得 られたので、MOL マリンのシミュレーター を利用した体験会と講演会を併せて開催する 運びとなった。

開催日時

 平成27年7 月25日(土)10:00~15:45
 平成27年9 月27日(日)10:00~15:45

イベント内容

 小学生および中学生を対象とした体験会と 講演会を2 回、それぞれ午前の部と午後の部、 計4 回開催した。

シミュレーション体験会
 船長、レーダー、操舵、テレグラフ、VHF を担当する役を、輪番でそれぞれ3 分間ずつ、 合計15分間体験して貰うことにしました。
 船は大型コンテナ船、操船域は大井のコン テナ埠頭を出港し、羽田沖で反転して、大井 埠頭に戻ってくるというシナリオです。

講演の部
① 船の種類、海運の重要性、パナマ運河と スエズ運河通航方式の違い(船長)
② 船の特性、乗組員の生活(航海士) 上記をビデオ上映およびクイズを交えなが ら解説
 参加者を2 班に分けて、シミュレーション 体験と講演を交互に行った。

講演者感想

 講演とシミュレーターを併せて開催するこ とは、初めての企画であった。今回は、 MOL マリンの宇都宮船長、池田船長、船越 船長、玉井船長にインストラクターをやって いただき、また大森船長(船長協会)の講演 に加え、小学生低学年が退屈しないよう女性 航海士の尾田さんによるクイズ形式の講演を 取り入れた。
 第一回目( 7 月)は一回のリハーサルで臨 むことになりましたが、子供たちにわかりや すく、やさしく対応することをお願いしまし た。船長・航海士の方々には、すぐに理解し ていただき、本番ではリハーサル以上の成果 を上げることができたと思います。
 第二回目( 9 月)では、第一回目のアンケー ト結果を参考にし、さらに改善を図って、よ り分かりやすいイベントになったのではない かと自負しております。

 今回は、子供たちに加えて付き添いの保護 者も参加された。下記「保護者・見学者の声」 にもあるように、子供たちのみならず、保護 者の方にも好評だった。

<保護者・見学者の声>
シミュレーターを使ったリアルな体験
「過日開催されました海の日のイベント「子 供たちに海と船を語る」につきまして、大変 密度の濃いイベントを拝見させていただき、 誠にありがとうございました。
 制服に身を包んだ皆さまから、普段あまり 自分の生活との関わりを考えたことの無い (であろう)海運のお話を、具体的にコンビ ニの商品などを例に教えてもらう、という子 供たちにとって非常に貴重な経験であったと 思います。また、シミュレーターを使ったリ アルな体験も子供たちにとって衝撃的だった と思います。」

初めて、見て触りました
「当日は、甥とその父親の二名が参加させ ていただきました。初めて、見て触るもので あり、とても楽しかったようで大変喜んでお ります。また今週末は、にっぽん丸に乗船予 定ですので、今回のイベントは、その予習の ようなものとなり、クルーズがより充実した ものになりそうです。私も写真を見せてもら いましたが、制服を着せていただいたり、オ リジナルのうちわをご用意いただいたり、 色々とご準備いただいたこと感謝申し上げま す。
 お忙しい中、たくさんの方のご協力のもと、 素晴らしいイベントを企画開催いただきまし てありがとうございました。」

本物の船に乗っているみたいだった
「本日は、イベントに参加させて頂き有難 うございました。たくさんの楽しいお話や、 本格的なシミュレーターの体験が出来たこと を大変喜んでおりました。以前、東京海洋大 学でもシミュレーターの体験をした事があっ たのですが、今回のシミュレーターは本物の 船に乗っているみたいだったと興奮しており ました。本人は将来航海士になりたいと言っ ているのですが、今回のイベントで航海士と いう仕事がどういった仕事をするのかイメー ジ出来た様です。また、参加したいと申して おりましたので、この様なイベントがあれば 応募させて頂ければと思います。本日は有難 うございました。」

The course was arranged in such fantastic way
「Thanks you for allowing us to attend such course. Our experience was mind blowing. The course was arranged in such fantastic way and I hope all young kids gets attracted to our profession in the future. The quiz arrangements(examples) and 3- 3mins changes of roles to the next responsivity was very good arrangements.
This is a key event in the social responsibility in attracting the young generation to our shipping industry.」

 最後にご尽力頂いた宇都宮船長、池田船長、 玉井船長および尾田航海士の感想を以下に紹 介します。

宇都宮英樹船長
「船の動きは、自動車や飛行機に比べて圧 倒的にゆっくりなため、どのように子供たち を退屈させず、シミュレーターを体験しても らうかに気をつかいました。5 種類の役割分 担(船長・操舵手・機関操作・通信・レーダー) を3 分毎に交代してもらい、それぞれの役割 を楽しんでもらったつもりです。また、途中 船にまつわるクイズを実施したり、急に荒天 となる状況も設定しました。子供たちが酔っ 払いはしないかと心配しましたが、大喜びで 荒天も楽しんでくれたようです。船員という 職業がなかなか一般には認識されにくい職業 だけに、これからも地道にこのような活動を 行っていきたいと思います。」

池田重樹船長
「操舵当番やテレグラフ当番は復唱してか ら作業にあたるようにしました。最初は恥ず かしがって声も小さかったですが、何回もや る内にみんな声が出るようになってきました。
 復唱すること、大きな声を出すことの大切 さをわかってもらえたような気がします。
 小学生低学年の子には指示されたコースに 向けるのは難しかったようですが、みんな一 生懸命取り組んでいました。3 分間という短 い時間で交代したのが飽きずに集中できて良 かったのではないかと思います。1 回の人数 は5 人ぐらいがちょうど良かったと思いま す。」

玉井勝也船長
「今回、私は事前にシミュレーションシナ リオの構築、当日はシミュレーターコントロー ルセンターでオペレーションを行いました。 参加の子供たちには直接会わない裏方です。
 シミュレーションは、あらかじめ船橋配置 の船長の方々と手順を打ち合わせているため、 進行に合わせてタグボートなど他の船をコン トロールします。ただしタイミング良く気象 を変える等の操作はもちろん、船橋内で少し 間が空いた時に夜景にして印象を変える等、 船橋内の雰囲気に注意しながらオペレーショ ンを行う必要がありました。
 また、子供は何が興味あるのか、どこに眼 が行くのか、シミュレーションシナリオを構 築する段階から意識しました。しかしながら 子供の興味の向くままに見せることは、「船 の世界を知る」という目的のこの企画に沿い ません。船の現場の様子を損なうことなく子 供にも解りやすく見せることが重要です。
 貿易と船の話は小学校高学年で習いますが あまり印象が残っていないようで、一般には 大人でも知らない事が多い海運。今回の見学 では子供はもちろん、付き添いの大人の方々 の方が興味津々だったかもしれません。
 これからも機会を作って船の仕事の紹介が できればと思います。」

尾田恵梨奈航海士
「一般の大人にもあまり知られていない船 乗りの仕事を、小中学生にどう伝えるか、プ レゼンの作成時はとても悩みました。飽きさ せないように気を遣い、身近なものに例えた り、乗船中の写真を見せたりして、少しでも 仕事内容を理解してもらえるように工夫しま した。また、非日常である乗船中の話を、「自 分には関係ない、全く別世界の話だ」と認識 させないようにしました。まずは「数ある仕 事の中の一つのお仕事であり、誰もが目指せ る、選べる職業だ」と認識してもらうことを 目標に語りかけたつもりです。乗船中にしか 見られない風景や、世界が海で繋がっている ことを伝え、彼らの冒険心が高まり、船乗りの 仕事に関心を持ってくれたら嬉しく思います。
 職業の話は高校生を対象に行うことが多い かと思いますが、今回のように保護者の方も 巻き込むことが認知度を上げる近道だと感じ ました。話だけでなく、体感してもらえると いう強みのあるMOL マリンで、こうした機 会を持ち続けられたら、と思います。」

 最後に今回のイベントをスムーズに効果的 に実施できましたこと、日本財団殿のご理解、 ご援助に深く感謝申し上げます。またMOL マリン殿の関係各位の多大なご協力、誠にあ りがとうございました。日本船長協会は、今 後もこのような機会を戴ければ、「子供たち に海と船を語る」事業の一環として進めてま いります、よろしくお願いします。



生徒達の感想文

生徒達の作文/ /

 


LastUpDate: 2024-Mar-25