第10回 山形県遊佐町立遊佐小学校

OB船長のいない学校で初めて開催

 2001年11月9日に山形県飽海郡遊佐町の町立遊佐小学校(斉藤安正校長、児童数333人)で行われた日本船長協会主催の「子供たちに海と船を語る」に故あって同行いたしました。
それまで「船長 母校へ帰る」は、そのタイトルの通り、船長が母校を訪れ、講演していましたが、今回はOBに船長のいない小学校での初の試みです。OBに船長がいない学校は全国にたくさんあるのに、なぜその初回として同校に白羽の矢が立ったのか、まずそれを説明しなければならないでしょう。

 私事で恐縮ですが、同校の校長は私の高校・大学の同級生です。と書きますと、船長協会に実施をゴリ押ししたかのように聞こえるかもしれませんが、けしてそうではありません。「船長
母校へ帰る」の企画が持ち上がった2000年の春頃、菊地剛会長(当時)から「こういう企画を考えているんだが、学校側の受け止め方はどうなのだろうか」という話をたまたまうががいました。
「小学校ならば同級生で現役の校長がいますので、彼に聞いてみましょう」と会長に答え、早速、打診したところ、校長からすぐに「時宜にかなったいい企画」「OBがいない学校でもぜひやってもらいたい」などと書かれた手紙が届き、会長にそのコピーをお渡ししました。そんな経緯がありましたので、OB船長がいない学校での実施計画が持ち上がった際、菊地前会長が「あの校長先生の学校で…」と薦めてくれたわけです。
故あっての「故」を言い訳がましく説明していましたら、与えられた紙幅が残り少なくなってしまいました。

 同日10時30分から始まった講演会には、4、5、6年生約150人のほか、父兄数十人も参加、最初に柳原良平名誉会員が大きな画用紙に船の絵を描き始めると、子供たちから「うまいなー」という感嘆の声が上がりました。続いて、菊地顧問が「船の役割、船のいろいろ」を、澤山会長が「世界の海・港・運河、海に生きる動物」をテーマに、それぞれスライドを映しながら制服姿で講演しました。菊地顧問の海賊の話や澤山会長の動物の話は、子供たちの関心が特に強かったように見えました。
最後に児童代表からお礼の言葉に加え、5年生が田植えから始めたという収穫して間もない手作りの庄内米のプレゼントがありました。
この小学校では、今回の企画を「出前講演会」と名付けていました。出前なんて、蕎麦屋と一緒にするな、という向きもあるかもしれませんが、この企画が出前のように気軽に開催され、OBのいない学校を含め全国的にさらに広がっていくことを期待してやみません。

市川公一((株)海事プレス社)


LastUpDate: 2024-Apr-25