第12回 札幌市立藻岩小学校

 大和交通(株)専務 安斎 勲(神船大N6)

はじめに
 学生時代からの先輩で友人である澤山会長からこの企画を聞いた時、先ず、卒業以来50年以上も経っている私が全く海を知らない我が母校に出向いても小学生が興味を示すだろうか?であった。何せ私自身が高校3年の秋まで商船大学の存在すら知らなく、海軍兵学校出身の先生から勧められた時に“給料をもらって外国に遊びに行ける?”こんなすばらしい大学はないと単純に考えて受験したぐらいだから…。
ともあれ長兄が同窓会会長でもあり相談した所、丁度、今年は開校100年の行事が行われるので面白いかも知れないと取り継いでくれた。
始めは、急に全く知らない船の話より、むしろ結索など実技指導の方が興味を示すのではないかと云っていた先生達も、ビデオテープなどの影響もあってか、校長先生の指示で熱心な教務主任の先生が窓口となって具体化した。

「母校の地理」
 我が母校は札幌の中心から定山渓温泉に向う途中にあり、札幌の校歌には必ずと云って良いほど出てくる藻岩山(532m)のふもとで石狩川支流の豊平川のほとりにあり、海へは、石狩湾まで30km小樽港まで50km近い所で、通常、海や船には無縁である。

「帆船と海賊に興味」
 11月29日講演当日10:30澤山会長、村田常務理事と母校へ。玄関を入ると前宣伝が良かったのか、口々に船長さんだと生徒達が話していた。
10:55校長先生の挨拶に続いて私が話した。先ず聞く方にリラックスしてもらうために、50年ぶりに校歌を一緒に歌い、小学生時代の写真をプロジェクターで見せた。
次いで、やはり一番興味を示しそうな日本丸の遠洋航海、日本/ロス、45日の旅は熱心に聞いてくれた。その他、香港滞在中のことや、外国の話を多くしてしまい、本来の船長協会としての目的から少し逸脱した前座となり澤山会長にバトンタッチ。
澤山会長も海運の役目を大ざっぱに説明したあと、興味を持ちそうな海賊の話になると、目ばたきもしないような雰囲気になり、訪れた国の数が90と云うと羨望のため息がもれた。
その他、パナマ運河の不思議、氷河、世界の港など、あっという間に時間が過ぎ、質問も制限せざるを得なかった。

「むすび」
 よく最近の子供は行儀が悪いと聞く、実際に地下鉄内などの中、高校生の行儀は良いとは云えないが、今回の我が母校の5,6年生172名に関しては、素直で礼儀正しく、私語も全くなく、これなら日本の将来も明るいと、非常にうれしくなり、皆んなと握手をして廻ったが、やはり日頃この生徒達を指導して下さっている石川校長、本間教頭、冨井教務主任ほか担任の先生の皆さんの力によること大であると同窓生として心よりお礼を申し上げたい気持ち一杯で母校を辞した。

LastUpDate: 2024-Mar-25