188回 熊本県熊本市立三和中学校

川崎汽船(株) 船長 東島 幸司/(一社)日本船長協会事務局   

熊本県熊本市立三和中学校

 

1.はじめに

 今回は、川崎汽船の東島幸司船長の母校である熊本市立三和中学校で「船長、母校へ帰る」講演を実施しました。開催の経緯等については、後述の講演者所感の中で紹介されていますが、同校は熊本駅の西約2 キロメートルに位置し、すぐ近くには九州三大稲荷のひとつに数えられる高橋稲荷神社があります。
同校は、昭和22(1947)年に設立され、70年以上の歴史があり、「協力・進取・正義・知性」を校訓として勉強や部活動に熱心に取り組んでいるとのことです。

2.開催日時

 平成30年2 月7 日(水) 14:20~15:10

3. 講演内容

 中学1 年生197名を対象に、東島船長がパワーポイントを利用して約50分間、以下の内容で講演しました。
①中高生時代を振り返って(野球部での活動、卒業文集で将来なりたい職業として「タンカーの船長」と記載など)
②世界をつなぐ船/ 海上輸送、いろいろな船
③船の特徴や世界の航路、運河について
④船長/ 船員の仕事や生活ついて
⑤夢について

4.事務局所感

 講演の当日はちょうど近くの高橋稲荷神社の初午(はつうま)大祭の日であったことから中学校の校庭がそのお祭りへ向かう人たちのための臨時の駐車場となり、多くの車が止まっていました。筆者はそれを知らなかったので、まさか保護者や東島船長の同級生などの聴講者の車であふれてしまっているのではないかとびっくりしたのもつかの間、制服姿の東島船長と会うことが出来、すぐに疑問が解けました。
 なお、初午大祭は熊本でも有名なお祭りとのことで、当日は、周辺の小・中学校も休校や半日授業となったりするそうですが、今回の講演はその日程を利用した「職業講話」授業の一環として行われました。
 東島船長の講演後の質問では、「今まで何ヶ国に行ったことがありますか?」「危険な目に遭ったことはありますか?」「海賊を見たことはありますか?」「給料はいくら位ですか?」「貨物などを落としたことありますか?」などの質問が出て、非常に興味をもって話を聞いていました。
 また、最後に生徒代表から「暮らしに関わる物資はほぼ100% が船で運ばれていることにびっくりした。また、夢に向かって一歩を踏み出す勇気の大切さを知り、これから職業について考えてゆくうえでとても参考になった。」とのお礼が述べられ、協会から記念品を贈呈し、全員で記念写真を撮りました。


(鐘ヶ江 淳一 記)


5.講演者所感

 私が最初に「船長、母校へ帰る」の講演に応募したのは2014年頃でした。当時はインド(ムンバイ)に赴任していましたが、その頃、母が入院しており、症状も次第に悪くなって重篤な状態が続く状況でした。私は母が会場に来れないまでも未来に輝く子供達の前で、船長として講演したらとても安心してくれるのではないかと応募しましたが、準備に時間がかかり、学校側と私のスケジュールの調整もつかず、とうとう母の存命中に講演をするには至りませんでした。
 母が亡くなってからもう一度講演しようと思い立ったのは、「人はいつ死ぬか分からない」と改めて考え、「今やれること、なすべきことをすぐやろう」と思ったからです。
 現在、日本人の船乗りがどんどん減っていく中、船乗りという職業を次の世代にバトンタッチするためにも自分が今できることは何かと考え、娘も通う我が母校での講演を思い立ちました。


 講演の前には、現代の子供達に思いがうまく伝わるか、聞いて貰えるか、娘が同級生に馬鹿にされていじめられやしないだろうかなどと危惧しましたが、講演を始めたとたんに、子供達の素直な好奇心が弾け飛び、質問も沢山してくれました。
 今は本当に講演をやって良かったという思いと、子供達のなかで、一人でもいいから船乗りへの道を進んでくれたらという思いで一杯です。
 最後に、講演の準備をして下さった三和中学校の先生および生徒の皆様、そして日本船長協会の方々に御礼を申し上げます。


 (東島 幸司 記)


生徒達の感想文

生徒達の作文/

 


LastUpDate: 2024-Apr-17