第189回 岡山県倉敷市立 庄小学校

内海水先区水先人 栗阪 肇/(一社)日本船長協会事務局   

岡山県倉敷市立 庄小学校

 

1.開催日時

 平成30年2 月19日(月) 09:35~11:35

2.開催経緯等

 今回は、内海水先区水先人の栗阪肇船長の母校である倉敷市立庄小学校で「船長、母校へ帰る」の講演を実施しました。
 同校では、栗阪氏が一等航海士であった当時、小学校1 年生の娘さんの担任の先生からの依頼をきっかけに、2007年と翌年に個人的に特別授業の講師として講演を行ったそうです。
 2009年にも3 回目の講師を引き受けたそうですが、急な乗船となったため、船長協会へ代理を依頼し、当協会の第70回「船長、子供たちに海と船を語る」講演として実施されました。
 その後、昨年、水先人として開業し、地元へ戻ったことから、当協会事業として今回の講演を開催するに至りました。
 なお、庄小学校のある庄地区は岡山と倉敷のちょうど中間付近にあり、一帯は縄文、弥生時代から貝塚や古墳などの遺跡群が多く存在し、古代吉備文化の中枢として栄えていた地域にあたります。現在は、新興住宅街のほか、保育園から大学まで各種学校も集中し、倉敷市の学園都市として脚光を浴びています。
 また、繊維業が盛んな岡山での特徴で、公立校であっても小学生たちがみな制服を着ている姿がとても印象的でした。

3. 講演内容

 同校体育館で5 年生(134名)と6 年生(139名)、計273名の小学生と約30名の保護者・教職員を対象に、栗阪船長がパワーポイントを使用して講演しました。途中約15分の休憩を挟み、適宜、児童からの質問を受けながら以下のような内容の話がなされました。
①自己紹介(おじさんの小学校時代、社会人となって(航海士/ 船長~ 水先人))
②訪れた外国の港、貨物船やフェリー・豪華客船の説明
③日本船主協会作成DVD「日本の海運」
④将来の夢(職業像)を持つことの大切さ、好奇心について(キャリア教育の一環として学校側依頼あり。『新13歳のハローワーク』村上龍著等を参考にして)

4.子どもたちの質問

 子供たちはとても興味を持ってくれ、質問の時間には以下のようなたくさんの質問がでました。
・航海士になるときに大変だったことは?
・水先案内人になろうと思ったきっかけは何ですか?
・外国の人と貿易(仕事)をする際の言語は何ですか?
・35か国くらいを訪問したそうですが、そのなかで一番楽しかった国は?
・船には何万トンもの物が積まれているそうですが、港で積降ろしをする際はどのような機械を使うのですか? また、どのくらい時間がかかるのですか?
・船長になるには大学に行かないといけないのですか? 
・船の中での生活はどのようなものですか? 
・日本へ輸入や輸出する船の種類は何種類くらいあるのですか?
・船長になって今までに一番思い出に残っていることは何ですか? 等々
 なお、時間が足らずに質問できなかった生徒には、感想文の中に質問を書いてもらい、後日、回答することとなりました。


(鐘ヶ江 淳一 記)


5.おわりに(講演者所感)

 講演の冒頭で、自己紹介を兼ねて私が通っていた当時の小学校の様子を説明すると、子供たちは現在とのギャップに驚いていた様子でした。
 途中の休憩時間に、夏休みの課題として作った木製の船の模型を見せて、熱心に説明してくれた子供の熱意と体験がとても嬉しかったです。
 質問中には、大人顔負けの内容(例:荷役機器の種類と荷役時間)があったことから、入念な予習がされていたように感じました。感想文の中で質問されていた「(船員/ 船長の)給与」については、後日、「DVD 「海の上のプロフェッショナル」」に給与の話が出るのでよく見てください。」と返信しました。
 子供たちにはDVD「日本の海運」が新鮮であった様です。特にDVD で紹介される「船は幸せを運ぶ」という部分に対するコメントをいくつかの感想文の中で発見しました。
 当日の体育館はとても寒く、業務用の大型石油ストーブ2 台でも体育館全体を温めるにはいたらず、生徒たちも寒さを我慢していたのではないかと思います。それでもメモを取りながら、一所懸命聞いていた子供たちの姿には感動を覚えました。
 今回の講演により、子供たちに少しでも船や海の世界を知ってもらい、将来の夢について考えてもらうことができたのではないかと思うと、今後の水先業務をしてゆくうえでもとても励みになりました。


 (栗阪 肇 記)


生徒達の感想文

生徒達の作文/ /

 


LastUpDate: 2024-Apr-17