第191回 奈良県立青翔中学校・高等学校

(一社)日本船長協会事務局   

奈良県立 青翔中学校・高等学校

 

1.開催日時

 平成30年5 月12日(土)09:45~11:35

2.学校紹介

 日本船主協会主催のキャリア教育の一環として、奈良県立青翔中学校・高等学校において「貿易、海運、船員の仕事」に関する講演を行いました。
 同校は、奈良県の中部に位置する御所(ごせ)市にあります。当日は大阪の天王寺から近鉄御所駅に向かったのですが、行楽日和の土曜日であり、電車の中はハイキング姿の乗客ばかりで、スーツを着ているのは筆者のグループのみという状況でした。
 駅からは葛城山の登山口(ロープウェー有)へのバスが出ていますが、この時期は、「一目百万本」と称される多数のツツジが葛城山山頂付近を赤く染め上げるとのことで、それを目当てにバス停に並ぶハイキング客たちを横目に見ながらの学校訪問でした。青翔高等学校は1904年(明治37年)創立の御所女子技芸学校を起源とし、その後高等女学校、県立御所高等学校を経て、2004年に現校名に改称、2014年に中学校を併設開校して、奈良県で初めての男女共学の併設型公立中高一貫校となりました。理数系に力を入れており、高校は文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクールに指定されているとのことです。

3. 講演内容

 体育館で中学1 年生79名の生徒を対象に、休憩を挟んで約90分間、以下のような内容の講演を行いました。前半を筆者が、後半を商船三井の女性航海士が担当しました。
①海運業とその役割、いろいな船の種類、世界の港や航路について
②日本船主協会制作ビデオ「暮らしを支える日本の海運」、「海の上のプロフェッショナル」の映像の一部上映
③船内の組織、船員(甲板部、機関部)の仕事、船員の生活
④船での苦労話や船乗りになって良かったこと、船乗りになるには など

4.講演者雑感

 青翔中学校・高等学校では昨年も日本船主協会の主催で海運や船員に関するキャリア教育セミナーが開催されたことから、今回は趣向を少し変えて、新入生である中学1 年生を対象に講演を行い、その後別の教室にて、高校1 ・2 年の女子生徒のうち希望者(計29名、昨年聴講済み)と女性航海士(商船三井 八重田二等航海士)が座談会を行うという形式で開催されました。
 講演後の質問では、「日本料理を食べられるそうですが、お刺身とかも食べることはできるのですか?」「下水処理とかはどうするのですか?」「海賊にはどう対処するのですか? 銃とかロケットランチャーみたいなものをもっているんですよね。」「長期休暇中の海外旅行って、飛行機で行くのですか? 船で行くのですか?」などの質問が寄せられ、非常に興味を持ってくれたようです。
 また、女子高校生の座談会では、八重田航海士が出演したテレビ放送(*)の映像を見せると生徒たちも盛り上がり、「結婚して子供が出来たらどうしようと思っていますか?」「船内での服装やメイク(身だしなみ)について」など、女性ならではの質問も多くでたようです。(*2018年5 月4 日 TBS 放送「NEWSな2 人―海で働く女性たち!その知られざる実態とは…!?」)
 外航船ではまだまだ女性の割合が少ない状況ですが、内航船やフェリー等を含めると、その活躍の場も広がってきており、今回の講演、座談会に参加した生徒の中からも後に続く女性たちが出て活躍してくれることを期待したいと思います。


(鐘ヶ江 淳一 記)


5.青翔高校 座談会 感想文抜粋

・自分の夢を見つけ、実現しているのはとても尊敬します。それも男性が多い職場を選び働いているところが格好良いなと思いました。生活環境がとても良くて驚きました。ホテルのような部屋に毎日泊まれるのは良いなと思いました、でも命の危険がいつもすぐそばにあるというのは恐いですね。私は理系なので、航海士も将来の夢の一つに入れて、もっと詳しく海の仕事について調べてみたいと思います。

 ・航海士は女性が少なく、大変な仕事そうであまり良いイメージがありませんでしたが、今日の座談会を通して苦労することも少ないのだということを知りました。むしろメリットの方が多かったように感じました。男性ばかりの中に女性が一人などのような空間には少しだけ抵抗がありますが、とてもやりがいのある仕事なのかなと思いました。

 ・前回の航海士の方に話を聞いた時よりも、女性としての体験談など、「航海士」という仕事について詳しく知ることが出来た。座談会という形で質問や話がしやすく、楽しく学ぶことが出来た。快適な生活ができて、お金も稼げて、海外に行くことが出来るとても魅力的な職業だと思った。自分の将来の選択の一つとして考えてみようと思った。

 ・船の中の暮らしについて、以前観光で訪れた潜水艦の博物館に展示されていた三段ベッドのイメージが何となくあったので、個室があると知ってかなり驚きました。また、30日間の研修後、船内での救急措置は一定までできるというシステムも印象的でした。私は船(艦)が好きですが、水泳が出来ないので仕事にするということは考えていませんでした。しかし、陸上での造船も面白そうだなと思いました。

 ・女性目線での仕事の経験を知ることができて良かったです。今まで考えたこともなかった職業ですが、仕事に就くのに困らなかったり、生活上でのメリットが多いのを聞いて少し興味を持ちました。女性だからと特別大変なこともなく、男女平等な働き方ができるのはすごい職業だと思いました。海外にも行けて、プライベートも充実していると聞いて、将来に考えてみたいと思いました。



 


LastUpDate: 2024-Apr-25