第203回 東京都文京区立第六中学校

(一社)日本船長協会事務局   

東京都文京区立第六中学校

 

1.開催日時

 平成30年9 月8 日(土) 09:30~10:40

2.紹介

 文京区向丘の地に昭和22(1947)年に開校し、昨年創立70周年を迎えました。教育目標は「責任を重んじる・学習に励む・健康なからだをつくる・美しい生活を求める」。
 例年9 月の学校公開日を「進路の日」と定め、各学年にゲストティーチャーを招き、講話を聞く取り組みを実施しています。一年生は「職業講話」として、船長、弁護士、ホテルマン、ゲーム制作、不動産、TV企画制作関係者が講師に招かれました。


3. 講演内容

 昨年に引き続き、講師陣の一人として受講者16名と参観の父兄に、六中時代の想い出、日本と海運について、世界一周航海での体験、船員の仕事と生活、船員教育機関について、等々を語りました。
 アスファルト敷の狭い校庭で練習していた野球部から2 名も甲子園に出場したエピソードや、船の大きさ、物資の輸入の99.7%を占める外航海運なかりせば、街のコンビニエンス・ストアの商品棚が空っぽになってしまう日本の現状等に、生徒達は随所でうなづいていました。

4.質疑応答

 生徒達との質疑応答の一部は次の通り。
① 一生忘れられない想い出は何ですか?
 水の都ヴェニスを訪れた時、海外雄飛を夢見て外航船員になった原点を再確認した。
 南アフリカに寄港中、27年間投獄されていたネルソン・マンデラ氏が釈放された。
「マンデラは我々有色人種の希望の星。彼がきっとこの国を変えてくれる!」港町のレストランで庶民が熱く語る期待の声通り、同国の大統領に就任、後年ノーベル平和賞を受賞した。船で訪れた国の歴史的転換期の一端に触れる事が出来た気がした。
② 一番大変だった事は何ですか?
 船には医者が乗っていないので、自分も含め乗組員が怪我をした時が一番大変でした。
③ 乗船中に大切にしている事は何ですか?
 怪我をしない様に注意すると共に心のケアも大切です。或る船で乗組員がノイローゼとなり高い所から飛び降り自殺した悲劇を聞いた事があります。乗組員達が何か悩みを抱えてないか?いじめは起きてないか?六中校歌にある通り、「身も心も健やかに」と船長の立場で身体と心の健康に心を配っています。

5.講演者雑感

 約70分間に及ぶ講話を終え、生徒の代表よりお礼の言葉と拍手をもらい、後輩達と記念撮影。昨年、六中卒業生の一人が鳥羽商船高専に進学したのに続き、今年も一人広島商船高専に進学したと聞いた。
「船長・母校へ帰る」「子供達に海と船を語る」の事業で、各地で小中学生に語ってきたが、その中から出てきた後輩達の船員志望の一因となれたのかも知れない。
 生徒達の純粋な瞳に接し、自分の多感だった中学時代、商船高専進学を目指した頃を思い出し、後輩たちのためにも頑張ろうと思った。

 なお、筆者は今回で「子供たちに海と船を語る」事業の担当としては、最後の講演となりました。これまでおよそ2 年半の間、自身及び母校で講演された船長の方々等の支援も含め、実施した講演は約50回となり、約3,500名の子供たちが参加してくれました。今後は、後任の長田船長に引き継ぎますが、これからも船長協会のこの事業は末永く続けて頂き、少しでも多くの子供たちが、将来、海や船の世界に進んでくれることを期待したいと思います。ありがとうございました。

(常務理事 大類健三郎 記)

生徒達の感想文

生徒達の作文/ /

 


LastUpDate: 2024-Apr-25