第208回 広島県尾道市立向島中央小学校

(一社)日本船長協会事務局   

広島県尾道市立向島中央小学校

 

1.開催日時

 平成30年11月14日(水) 14:05~15:40

2.紹介

 日本中小型造船工業会が主催する「船のものづくり体験講座・キャリア教育」の一環として、「子供達に海と船を語る」の講演を行いました。
 尾道市は岡山市と広島市の間のほぼ中央に位置しており、瀬戸内海に面し、古くから海運による物流の集散地として繁栄していました。近年しまなみ海道及び中国横断自動車道(尾道松江線)の開通によって「瀬戸内の十字路」として更なる利便性の向上が見込まれている都市です。
 また、尾道市は「坂の街」「文学の街」「映画の街」としても全国的に有名です。
 向島中央小学校は尾道駅から見て尾道水道を挟んだ対岸の向島の北部に有り、近郊には多くの造船所があり、日常的に海に触れ得る環境に在ります。

3. 講演内容

 同小学校5 年生2 クラス(60名)を対象に講演しました。
 多目的室を使用して五限目及び六限目を使用した95分の長丁場であったので、前後半の二部構成とし、パワーポイントやビデオ映像を使用して主に以下のような話をしました。
・日本の海と船による物資輸送、海運について
・外航船の種類や特徴
・世界のいろいろな港や航路、パナマ運河、スエズ運河について
・船員・船長の仕事や生活、経験談、船員になるには など

4.講演者雑感

 講演前に学校の先生と打ち合わせた際に、周りを海に囲まれている島でありながら、意外と子供たちは造船/ 海運の事を意識していないというお話を頂いた。 しかしながら、しっかりと事前学習が行われていたからか、他の多くの学校の生徒たちに驚かれる「日本の貿易量の内の船舶で輸送されている割合は幾ら?」という質問の回答も、殆どの生徒さんが正解の「99.7%」と答える事ができていて、却って筆者が感心してしまった。
 皆さん映し出される写真やビデオの映像を興味を持って見てくれていて、あっと言う間に時間が過ぎていきました。
 休憩時間中には生徒達から「船長さんの帽子を被らせて欲しい」との希望がありました。講演終了後に希望者が列を成して次から次へと帽子を被って、先生に写真を撮って貰っていました。

(参与 長田 泰英 記)


5.生徒達からの主な質問と答え

質問① 今まで乗ってきた中で一番のお気に入りの船は何ですか?
答え コンテナ船のMOL MAJESTY です。 その理由は、コンテナ船なのでスピードが速く、大きさも長さ302m、幅43.4mと大き過ぎず小さ過ぎず丁度いいサイズで、操船もしやすかったです。
 また、寄港地が中国/ 香港/ ベトナム/アメリカ / カナダ/ パナマ/ スペイン/エジプト/ スリランカ/ シンガポール/ 日本と多く、世界の色々な国を訪れる事が出来たからです。

質問② 船では何時間寝れるのですか?
答え 広い海を普通に航海している場合ですと、機関部ではエンジンや発電機などを自動運転にできるので、普通の人と同じ様な生活(夕方5 時から次の朝7 時くらいまで仕事は休み)をしてますので、夜はゆっくり眠れます。一方、船を操縦したり見張りをする航海当直をする乗組員は8 時間毎に当直の時間がきますので、その間に休んでおかなければなりません。
 また、船が入港したり、出港したりするときは、全員が配置につくので、必要に応じて、働く時間と休む時間が変化します。

質問③ 船の上で半年ほど過ごしていて疲れませんか?
答え 乗っている船がどこの港に行くのかで答えが変わってきます。
 例えば、日本から遠い国の港に行く場合は、港から港までの航海日数が長いので、気持ちをリフレッシュしたり身体を休めたり出来ますから、余り疲れません。
 でも、近い国の港(例えばロシアのサハリンと東京湾)の間で液化天然ガスを運ぶ船に乗船すると、港から港まで片道2 ~ 3日位しか掛かりませんので、1 週間の間に立て続けに入港、積み荷、出港、そして次の港に入港して揚荷、終ったら直ぐ出港と沢山の仕事をするので疲れます。
 ですから、その様な忙しい船に乗船する場合は、他の船より乗っている期間を短くして早く休暇下船して、家に帰って休みが取れるようにしています。

質問④ 船の速さは種類によって違うんですか?
答え 積んでいる貨物の種類によって速さが違います。
 積んでいる貨物がゆっくり運んでもよい船は速さが遅くてもよいので、燃料を節約して走れるように遅い性能にします。
速い船の代表は旅客船の仲間でジェットフォイルという水中翼船です。お客さんが早く目的地に着けるように、その速さは時速45海里= 時速80km 以上です。

質問⑤ 船はいろんな運ぶものが有りますか?
答え はい、そうです。
 皆さんの周りにある日用品から食料、木材から石油、天然ガス、鉄鉱石など殆ど全ての物を船が運んでいます。

質問⑥ 大きい船では何人乗れるのですか?
答え 貨物を運ぶ船の場合、船の大きさが大きくても小さくても、安全に船を動かして、貨物を目的地に運ぶために必要な人数として、大体25人030人位分しか船員の部屋は設けていません。
貨物船は元々貨物を運ぶために作られていて、客を乗せる部屋を設けていないからです。
 お客さんを乗せる目的の客船の内、世界最大級の船では乗客/ 乗員合わせて7800人もの人を乗せることが出来る客船もあります。

 


LastUpDate: 2024-Dec-17